バックナンバー・練乳工場(6月下旬)


6月30日/男2人女1人はドリカム改めキーボード脱退後のすかんち状態

ミニ俎板かと見紛うサイズの本を一冊、私は今手にしている。まず巻末に添えられた作者による書名の由来を抜粋したい。
「チェッカーズがデビューするのとほぼ同時期にPATIPATIが創刊された。今回、世紀の移り変わりに連載していたインタビュー・ページを一冊の本にし、[Feti Feti]とタイトルをつけた。PATIPATIというフィルターを通すことで、これまでの藤井フミヤの[fetishism]を感じ取ってもらえればと思う。」
イエス。某筋から入手した待望のユーモア・サスペンス、藤井フミヤインタビュー集「Feti Feti」(幻冬舎アウトロー文庫)である! ワードで書いてたらいきなりタイトルに赤波線のスペルチェックが入っちゃったぜ!
あゆの影響でデカ眼鏡を着用するフミヤ兄貴のフォト、専門学校生が入学課題で描いたような自作CGと全編にわたり興味はつきない。しかし私もライター(未満)の端くれとして僭越ながら言わせてもらえれば、インタビュアーの技量が稚拙すぎるのだ。
どうもこのインタビュアーの女性は30歳ほどの女性であり、物心ついた時からのチェッカーズファンで現在もそのPTSDに悩ませれているフシが垣間見られる。
残念ながらこんな大甘ファン代表では、フミヤ大兄の魅力を客観的に伝えることができない。
そこで私がこの場を借りて、フミヤ義兄のコメントには全く手をくわえず、質問のみ若干換えることでインタビューを再構成してみた。

こんにちは。今日はよろしくお願い致します。
「アケオメ! コトヨロ! 結構キてるよね、オレたち」
いきなりクリエイター全開な挨拶! 「オレたち」でくくってもらえるなんて大変光栄ですよ。
「そういうクリエイターっていわれる人たちがなんかすげえカッコよく見えたからさ。だから"クリエイターになりたい、クリエイターになりたい"ってずっと思ってたんだよね」
鶴太郎が画家に憧れたようなもんですね。しかしそんなフミヤさんの発想の源って何でしょう?
「オレ、雲が好きなのよ。もうかれこれ5〜6年は好きだねーっ! 雲を見てるとさ、アイディアが浮かんでくるのよ」
また喰えない詩人みたいなこと言い出しますね!
「だから、雲見ながら、素晴らしいアイディアが浮かんだときには、雲に手を合わせて「ありがとう!」ってやってる」
ナチュラリストですね。というかナチュラリーですよ、藤井兄弟は!
「そう思うのは、オレの場合、絵を描く人だからなんだろうけど」
調子のんなよ田舎侍。工藤静香だって絵描く人だからな。そういえば藤井兄弟といえば、F‐BLOODで最初に出したシングルの「I」が、僕大好きなんです。
「愛と自分の"I"をひっかけてつけたタイトルなんだけど、こんなに短い曲のタイトルは他にないだろうと思ったよ」
まあ、そりゃそうでしょうね。
「こんなに短い曲のタイトルは他にないだろうと思ったよ」
二度言うほどのことではないですね。それでは新曲の「UPSIDE DOWN」についてなんですけど。
「歌詞の内容が、オレのいちばん得意とするメッセージ的なもんだよね」
橘いずみでも言わないような科白! では曲の方は?
「サウンドはね・・・オレは多少プリンスに影響受けてる感じもあるかな・・・っていう。でもやっぱ全体的にはTHE MODSの影響が大だね」
聞きてえよ、そのサウンド! でも新曲は何だかピコピコした感じが新しいなとは思いましたよ。
「オレの中でね、チェッカーズが解散するギリギリのころから、全てのコンセプトが"2000年"だったのね」
それはまた聞きずてならない発言を・・・
「そんで21世紀の・・・なんだろうなあ・・・ロボットの時代とか、宇宙旅行の時代とかが、ホントに目の前に迫ってんだなっていう。例えばテレビ電話の時代とか、そういうものがガンガン来てる時代なんだな、とか」
高度成長期のイメージということで。それがフミアートの原風景なんでしょうか。
「え? この話は書けないかも? いいじゃん書いても。オレは構わないよ」
自分の発言を勝手にデンジャラスにしないでください。そんなたいしたこと言ってないですよ。
「吉川晃司がバック転なら、オレらは前に転がろうって、扉が開いた瞬間いっせいに転んだりとか。覚えてる? へえ、そうだったんだ。当時のアイドルってさ、今と全然違って、私生活を隠すのが普通だったじゃん?」
脈絡ない話を勝手にしゃべんなチビ。ところで最近フミヤさんは楳図かずおみたいな陰毛パーマをかけてますが。
「オレさ、自分で言うのもなんだけどさ・・・オレが髪型変えると、その髪型が流行るんだよね。ホント、自分で言うのもなんなんだけど」
はあ。
「ニューヨーク遊びに行くようになって、どっぷりハウスって感じになっちゃってさ。最初にはまったの、オレだけだったのよ」
聞いてません。
「だから当時のオレらって、全部ひっくるめてユニセックスの走りだったんじゃないかって」
おまえ、もしかして中坊?
「たぶん"フェロモン"って言葉が生まれたの、オレからかもね」
フミヤさん、もう誌面ないので最後に一言お願いします。
「緑って、戦争の色だね。だって戦地に行く人が着てるじゃん」


6月25日/日本海沿岸しか走らないジョナサン運転のラブワゴン

鈴木工町田引越しジャスト1周年企画/町田市民限定コント

「菊田先生、ご無沙汰しております」
「君は・・・ああ、鈴木工総研の。ずいぶんと久しぶりじゃない」
「はい。先日のご依頼の件で伺いました。時間かかって申し訳ございません。都議選の公約に使う町田市復旧案のプレゼントということで」
「都議選なら昨日終わったけど」
「マジで?また密室政治かよ!」
「思い切りオープンにやっていたでしょ。だいたいそれ発注したの1年前だよ。結局僕は立候補しなかったから」
「そんな事言わないで来月の都議選に使ってください」
「そんなに頻繁にやりません。クラスで保健委員決めてるんじゃないんだからさ。まあ、聞くだけなら構わないよ」
「まず経済活性化のために町田に大型企業を誘致します」
「それは必要だよね。どこを呼ぶの?」
「T−ZONEです」
「一回既に潰れてるよ!」
「本当ですか? 話、進んでるのに・・・」
「勝手に進めるなよ! 君は何の権限があるんだ?というか撤退したT−ZONEがなんで乗り気なのか分からない」
「大体ですね、デフレの根源は価格崩壊にあると思うんです。だからユニクロ自体をセーフガードで締め出します」
「それは大胆な発想だねえ。代わりにどこを呼ぶの?」
「同じくカタカナ四文字の・・・」
「お、コムサデとか?」
「マルカワです」
「格が落ちてるよ! デカいジーンズだけ売ってりゃいいんだ」
「あと最近の町田は風紀が乱れまくってますね。東口マクドナルド前では行商人が白昼堂々血の売買を・・・」
「あれは献血の勧誘だろ?」
「そんなことはありません。横では血を抜かれて顔色が変わった人が横たわってますよ!」
「そりゃあアクセ売りの黒人だ! まあ仕事の縄張りは一緒だが・・・」
「それに言葉の乱れも顕著ですから、指導に力を入れましょう」
「国語の授業でも長くするの? そりゃあ市の行政では難しいかもしれないね」
「いえいえ、靴屋のAsbeeの店員を全員解雇するんです」
「確かにチェーンのくせに店員全員がタメ口だけど!」
「さらにいかがわしい風俗店も撤廃します。ブックオフ前にあるテレクラは問題があると思いませんか?」
「あんな商店街のど真ん中にあったっけ?」
「入店すると年齢を確認しないんですよ」
「それはまずいね」
「でも女の好みは聞かれるんです」
「摘発しないといかんな」
「そこで客は油多目味濃い目などと要求していまして」
「そりゃあ横浜ラーメンの「ぎょうてん屋」だよ! 黄色地に赤字の看板が「リンリンハウス」そっくりだけど!」
「絶対サクラがいるはずなのに、替え玉はないってシラを切るんですよ!」
「家系ラーメンは替え玉がないんだよ。「サクラ=替え玉」ってうまいボケだけど、分かりずらいよ!」
「治安が落ち着いたらエネルギー問題にも着手しようと思います。無駄な資源を有効利用しようと」
「ふむ。古紙の再利用とか?」
「いえいえ、小田急交番近くの踏み切り待ちをしている人のイライラを使って発電します」
「そんなシステム開発できるのかよ!」
「それもただの急行待ちじゃないですよ。ロマンスカーの回送待ちです」
「のろくて滅茶苦茶イライラするからな」
「あと「いくどん」の炭火も火力発電に使います」
「あれは無駄な資源じゃなくて肉焼く目的があると思うんだがね」
「「いくどん」のスープは水力発電に」
「あんなのチョロチョロじゃないか! 大体「いくどん」分かる奴がどれだけいるんだ」
「大丈夫です。「アド街ック天国」で八塩アナがお薦めの店にあげてましたから」
「それは心強い」
「でもコメントが「私も一度行ってみたい」ですよ! リコメンドしてるんじゃねえよ、ムチムチスーツ野郎!」
「君、言い過ぎ。それに発電所作る場所なんかないでしょうに」
「空き地というか無駄な空間を見つけました。東急ハンズ前の道路をまたいだ三角地帯の先端です」
「わいが屋の先かな? でもあそこは壁みたいに薄いプレハブが建ってるよ。秘密基地みたいな」
「東京ラーメンとか名乗ってるくせに香港風甘味出すんですよ、あそこ!」
「知ってるんじゃねえか」
「というようなことを次回の選挙で使っていただきたいと。ところで報酬の方なのですが・・・」
「こんなのに金は払えないよ」
「いえいえ現金が駄目でしたら、サンロクマルのクーポンか三和スーパーのポイントカードで構いません」
「ギャフン!」


6月19日/鈴木あみ裁判逆転判決!松浦亜弥が有罪に!

もともと午前中の編集部は人気が少なくて静かなものだが、それが月曜日ならばなおさらだ。俺がのぞいた時はアルバイトの青年が新聞のファイル整理に励んでいる姿しか見えなかった。
今出入りさせてもらっているその隔週刊誌が発売の週は、入り口近くに刷りあがった冊子が無造作に詰まれている。打ち合わせまで時間があまっていたので、俺は一冊を手にとってぺらぺらと眺めた。
次の瞬間、俺は衝撃で雑誌を落としていた。顎の先端が地面までついた。両足を高速回転させて走っていたら実はそれが崖の先でしばらく停止したのちに急降下した。
見開きページの左隅の白ヌキ活字が視界に飛び込んでくる。
「今回を持ちまして「思想としての美女」の最終回とさせていただきます。長い間ご愛読ありがとうございました」
今華々しくライター(見習い)として活躍する俺が、蛾が群がる種類の脚光を浴びるきっかけとなったコーナー「思想としての美女」がひっそりと終幕を迎えていたのだ。
思えば伏線はあった。原稿遅漏の名が高いリリー会長は担当編集が変わると連載の存続が一気に困難をきわめ、ひっそりとフェイドインしていくのが常であるらしい。その噂通り、血で赤校正を入れろと指示する梅が丘のアイアンメイデン・前担当者のO女史は、春に他雑誌へ移動していたのだ。
このコーナーがなければ俺がライター(未満)としてデビューすることもなかっただろうと思い、せつない気分に目を細めた。
ここまで読むと俺が雑誌を落としたのは連載が終わったからのように思われるかもしれないが、ノンノンノン。ノンムジーク、ノーライフ(ドイツ語)。27歳ってそんなことにいちいち驚いてはいられない年頃なの。
さらに読み進めると、リリー会長が次のような文章を綴っていたのだ。
「ここに日本美女選別家協会という旅に終止符を打ち、会を解散することになった」
まさに寝耳に水。熟睡中に上流でダム崩壊。睡眠薬を致死量まであおってからビニールプールでバタフライ。まったくの初耳であった。
投稿を重ねて手に入れた会員番号#023も無に帰してしまうのか・・・それよりこれでリリー会長と会う機会を失ったというのが痛い。
世間では俺がリリー会長と昵懇の仲のように誤解している向きもあるが、われわれは「Stand Up」のプロモにおける倉木麻衣とそのバックバンドの黒人程度の仲でしかない。というより面識自体がない。というより向こうは多分俺の存在をよく知らない。
これで就職活動を再開する際、履歴書の資格に書けることが「和文タイプ」と「小学3年の時に公文がN」だけになってしまった哀しさに俺は肩を落とした。
ここまで読むと俺が雑誌を落としたのは美選協が解散したからのように思われるかもしれないが、ネバネバネバネバ(末唯語)。花魁は今さらそんなことに驚いているひまがないでありんす。
俺が驚いたのは、今NYでロックバンド活動をしているらしいドリアン助川の連載が再開されていて、タイトルが燦然と映ったからであった。
「(元ドリアン助川)TETSUYAの英語ノート(副題・さよなら、ドリアン)」
ドリアン助川改めTETSUYA。
またTETSUYAって。
TETSUYAだぜ、TETSUYA。オンラインクーポン提示でビデオ半額になりそうな名前だ。あえて自分から帯刀している懐に飛び込んでしまったような雰囲気が全開。R&B系女性シンガーの勢いだけの命名がひとしきり落ち着いたこのご時世に、なにかしら「やっちゃった」感の強さは否めない。
俺は心を落ち着けて落とした冊子を拾った。この雑誌のコピーの「現代が3時間でわかる」に偽りは無い。なぜならドリアンの本名が助川哲也である情報まで網羅しているのだから。

6月17日/もずくが入っているのは偽ズブロッカ

以下は或る依頼の元に書いた文章である。掲載用ではないことと、最近更新が滞っていたのでアップしてしまいましたが、Oさん大丈夫でしょうか? もしこれを読んでいて支障があったら連絡ください。

こんにちは、講師の鈴北久美です。
私は悲しい。相変わらず女性へのセンチメンタルな妄想を現実逃避の調べにのせて語る「叙情派妄想恋愛ポエム講座」。数を重ねるというのに、未だに趣旨を理解しない輩がはびこっています。
今回のテーマは「女子アナウンサー」。改めて参考作品を見てみましょう。
「予備校の自習室で舟を漕いでいると、いつの間にか対面に座っていた進藤晶子に「やる気あんのかコラ」と脛をこづかれる」
「電車で横に座って新井素子の文庫本を読み出した佐々木恭子(眼鏡着用)が、うとうとして僕の肩に頭をかけて眠りだして・・・夏」
これでは降りれませんねえ。東海道線で川崎行くつもりが軽く焼津まで行ってもJRだろうがE電だろうがNゲージだろうが責められないでしょう。
しかし送られてきた作品は水を差すものばかりでした。
「友達の家を訪ねると妹の野村真季がシミーズ姿で登場」(27歳/職業・二重スパイ)
友人の妹に無垢テイストあふれる野村真季は賢明なチョイスです。しかし何故これを「あまりおいしくないピザを焼いてくれた」「勝手にCDを聞いた聞かないで兄貴とケンカを始め、マシュマロを投げつけて二階に駆け上がってしまう」に持っていけないのか。今シミーズ着てる人類なんて、富永一郎のマンガとウチのアパート管理人・吉川のバアさんだけです。木造アパートに「レジェンド吉川」というネーミングもどうなんでしょう。
「余命が半年と宣告された馬場典子をなぐさめるため、僕は青い車を走らせて冬の海へ向かう・・・」(28歳/職業・雑誌リサイクラー)
確かに馬場アナは不幸フェイスで短命に見えますけれど。キューピー3分間クッキングで作った料理も塩辛そうで命縮めそうですけれど。エプロンに人面蒼が浮かんでいますけれど。また「冬の海」って。救いがなさすぎます。
ここまではいい。まだかろうじて恋やら叙情の匂いが残り香程度に漂っているからです。
「菊間千乃の二の腕でひんやりラリアットされたい」(27歳/職業・マジックキノコイーター)
菊間アナの二の腕は冷たそうなことは認めます。事故以後、確実に血の循環も悪くなっているでしょうし。しかしこれのどこに昂ぶればよいのでしょうか。
「<音楽大学を受験しようとしている健次(僕)に憧れの秋沢淳子先生が家庭教師についてくれた。レッスンはきびしいが、彼女の弱みをつかんで迫ると、まだ処女だという彼女が騎上位で――>
膨張した肉茎がものすごい力で圧迫される感じがあった。なんとも言えない甘美感に健次は目を閉じた。ズブズブと肉棒の全身が熱い肉壺におさまっていった。
「あッ、先生・・・いい・・・気持ちいいよ・・・」
健次は淳子の胸に顔を埋め、腰に伝わってくる蠕動を感じずにはいられなかった」(24歳/職業・バス乗組み)
最悪です。最悪山の頂です。最悪川の上流です。「21世紀の川上宗薫を探せ大賞」やってるんじゃねえんだよ、このエロ文士が。大体、なんで三人称の必要があるのか分かりません。しかも、これダカーポの「くらいまっくす」のまんまパクリです。
それでは閉会の前にもう少し。
「単二電池をなめて大橋マキ、今日も元気です!」(27歳/職業・吸い殻拾い)
「大橋マキはガス室の稼動スイッチをひねっても笑顔!」(27歳/職業・吸い殻拾い)
「筋肉番付ゴルフバルーン割りの標的に大橋マキ採用!」(27歳/職業・吸い殻拾い)
「大橋マキvsジャズ空手」(27歳/職業・吸い殻拾い)
君は出入り禁止です。鍵返してください。更新料はいらないから早く掃除して出て行ってください。
次回も引き続き「女子アナ」で投稿を募集します。それではまた。


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