バックナンバー・練乳工場(7月下旬)


8月6日/Mrブー・ホイする惑星

テレビで噂の検証ネタをやっている。
「今、若者の間で大人気の女性歌手H・Aは、人気バンドTのNとつきあっている」
H・A・・・推測するまでもなく、浜崎あゆみであることは間違いないだろう。しかし人気バンドTのNとは誰か?  想像可能できるだけの候補をあげてみよう。
1・TOKIOの長瀬
2・たのきんトリオの野村義男
3・TMネットワークの尚登・木根
4・トライセラトップスのニョロニョロボーカル野郎
5・タコ社長バンドの中坊公平
6・TEAM0のノリヤス
7・トリオザパンチの内藤陳
8・中日の野口
9・千葉のニールヤング(自称)
10・妻の寝言
11・TNT爆弾
1だけは絶対にないだろう。なぜならこれを放送していたのは「ガチンコ」を放送するTBSであったから、その絡みを考慮すればこのようなガチンコ情報を流出できるはずがない。国分がAIKOとつきあってることを考えると、年下の長瀬がつきあっていい女性ボーカリストは格的に古内東子(妖怪人間ベラ)だけだ。
残りの9人は横一線といったところか。3だけ人気バンドに該当しないのが気になるのと、8は中日の野口ではなくて、仁村(兄)かもしれない。しかしもっとも疑わしいのは、浜崎のバックバンドを務め、日本を代表する実力派スリーピースバンド・たのきんトリオのギタリストであり、夜は元AV嬢の妻にボトルネック奏法を決め込む2・野村義男であろう。
だが私は別の人物である確信を得た。あゆのような若くて才能がある芸風詐称アーティストは、そもそもつきあってる男性の影響を受けるもの。そこから逆算すれば浮かびあがる解答は一つしかない。
12・中国共産党のヌルハチ
ヌルハチは確かに共産党員ではない。でも仕方ないだろ、Nがつく中国の要人のボケが見つからなかったんだよ! 語感が面白いんだから許せよ!
あゆの新曲は「Unite!」。こんな「団結せよ!」なんて、今時社会主義国ぐらいでしか口ずさまれないタイトルだ。歌詞の「自由を右手に、革命旗は左手、毛首席の刺青は背中に。ワンスイ(万歳)!ワンスイ!ワン・スイ・スイ!」という歌詞にもヌルハチの影がちらつく。
コスチュームもやたら肌の露出が目についたが、これはセクシーさを強調したというより、ユニクロの工場増設に伴って中国には今着る生地がないという抗議を孕んだメッセージに違いない。
昔「白あゆ」「黒あゆ」のアルバムが同時発売した時、業界では「アカあゆ」が配られたことはあまり知られていない。全身紅蓮の炎で真っ赤に染まったあゆが、白ポストに入れられた思想書と一緒に焚書される衝撃のジャケットであった。

番組のCM明け。若者の間で大人気の女性歌手H・Aは藤あや子であると告知されている。


7月28日/鳩山一郎はイレイザーヘッド

振り返れば90年代の笑いはダウンタウンの天下であった。
その中でも大きな功績として印象に残るのが、松本人志による「松風ライブ」だ。武道館の観衆を相手にして、巨大モニターに映る映像に一言コメントをはさむ斬新な手法は未だに目に焼きついている。たとえば、

「 守衛さん、加護ちゃんはまだ出てこないの?」

というような感じだ。
さて、このHPを立ち上げて一年が経つ。ここは私の決意表明として、この「写真で一言」に挑戦したいと思う。
笑いの巨人・松本が切り開いた轍を行く愚行ということは理解している。笑いの世界で同じことを繰り返すということは、彼への敗北を認めていると同意である。
しかし男には負けると分かっていても戦わなければいけない人生(とき)があるのを、俺はアイスのカップ裏を舐めるようなてめえら腑抜け読者に身を呈して教えたいんだよ!
それも松本はある程度コメントしやすい写真を事前にチョイスしているらしいが、私はそんなことはしない。手元で閉じられているキャパ写真集「ベトナム戦争の光と影」を適当に開いた写真に一言浴びせる、真剣勝負を挑みたい。
いいかチューチューアイス吸いども、俺の生き様を見ろ!いざ勝負だ。

・ブスメダルでは金獲得
・ブスオリムピック界のサマランチ
・世水?おまえのスイは水泳じゃなくて吸い餅選手権だろ!

・赤潮の原因
・博士、希塩酸に入れても溶けません!
・水の中では醜女もミジンコも平等なの・・・
・水飛沫が危険物取扱(丙種)薬物として認定

・毒入り林檎を食べても死ななかったそうですね?
・めっちゃくやしいですぅ〜生まれてきたことが
・千葉すずさんがあなたの存在を提訴するそうです

今、読者から「話が違う」とメールが殺到しています。「写真のチョイスが偏っている」と思われている方が多いようでございます。申し訳ございません。誠に申し訳ございません。今前駅に連絡をとって原因を究明している最中でございます。
どういう訳だか目障りな写真が集中してしまった。生きていくうえで明らかに必要でない光景を三連発で見せてしまったことに対して、謹んでお詫びしたい。
それでは気を取り直して、再度「写真に一言」に挑戦しよう。

・こっち向くんじゃねえよ、脂身スイム!
・肩の毛が剥けてるぞ、豚コマライフ!
・おまえのせいで海が黒ずんじゃったよ、フグ提灯!
・勘違いしてんじゃねえぞ、冬のプール水野郎!

ごめんなさい。僕がいけなかったんです。この通りあやまりますからこれ以上非通知で電話をかけないでください。
誰の仕業か、私が用意した報道写真がすり返られてしまった。ネット世界の暗黒の手がここまで伸びていようとは・・・思わず動揺して写真に面白コメントをはさむ当初の趣旨から大きくはずれてしまった。
もう一度チャンスをください。次の一枚に私の全てを賭けさせておくれ。

・さっき、ティム・バートンが君のこと探していたよ
・都のディーゼル規制により東京から追放
・目をつぶるな、死ぬぞ!俺が
・小泉首相が言う「痛み」って君のこと?
・なんでこの子は被爆の瞬間、川で泳いでいたのに助からなかったんだろうねえ・・・
・マー冥土
・ゴリッチュウ(ゴーヤチャンプル味)
・ペタジーニ求愛
・デストロイド魚市場
・ふとがね金太フェミニズム
・ビューティー吐瀉物
・酢飯を踏んだらサヨウナラ
・はらわたプールにダイビング
・おりものプラネット一等星
・カップやきそば野菜クズ共和国
・田島トド子
・田島ウミウシ子
・ゴリ山ゴリ子
・神の子
・ウンバホー、ウッホホウッホホ

どうやらまだ私が松本に勝負を挑むのは機が熟していなかったようだ。もうしばらく時間をいただきたい。私は必ず力をつけてこの企画でリベンジを果たす。
帰ってくるまでの間は、この写真で勘弁していただきたい。


7月22日/とんこつラーメン屋の能書きメニューを激賞する見城徹

「バンコク21日=特電」タイ警察当局は、タイ・チェンマイで多くの現地妻と暮らし"ハーレムの王"として知られた玉本敏雄容疑者(67)=和歌山県出身=を21日までに、出入国管理法違反容疑などで逮捕した。
 同容疑者は北部の古都チェンマイで1970年代前半、10代の現地妻11人と同居し、タイ政府から「公序良俗を害した」として永久国外追放処分を受けたが、警察当局によれば、旅券の氏名表記を偽り、別人になりすまして出入国を繰り返していた。

と、報じているのは21日付の夕刊フジのWebサイトである。
しかし王政が敷かれているタイで「ハーレムの王」だから相当なものだ。日本の皇族に変換すると「肉の宮」といったところか。今日本にかろうじて存在する王といえば、選手生命を更迭されたラ王・前園ぐらいしかいないし。年俸がタピオカの実半年分現物支給である前園であるから、「ラララむじんくん王」に違いない。さらに夕刊フジによれば、

同容疑者はタイ当局から永久国外追放処分を受けた当時、「TAMAMOTO TOSHIO」と表記された旅券を所持していたが、今回逮捕されたときは「GYOKUMOTO HARUO」になっていた。

ギョク本ハル雄。スタミナ丼を擬人化したような偽名である。ここまで来ると当然掲載されていたフォトには「梶原一騎似のアッパーテイスト親父」を期待してしまうが、意外や意外、伸びたTシャツの襟元から貧弱な鎖骨がのぞく涸れた盆栽みたいな男である。

ギョク本

あまりにも佇まいが淋しいから、憐憫の情も湧いてコピーの一つでもつけたくなるというものだ。

ED。ダメ、ゼッタイ

こんなことをして遊んでいたら、俺の中の或る記憶がむくむくと甦ってきた。
7年前の某日。長旅からの帰路についていた俺は、手にしていたチケットが格安航空券だったためにネパールから複数の飛行場とエアラインを経由していた。バンコクで乗り換えたパキスタン航空はシーズンオフのためか客席もまばらで、成田に向かうまでにマニラに寄航する便だった。
隣の窓際に座った男はどこか薄汚れた格好をした50男の日本人だったが、きびきびした動きはバッグパッカーのような疲弊を感じさせない。奥の席にいた男に機内食を手渡しするのを手伝っているうち、自然と会話をしていた。男が学生さんの貧乏旅行かね、と訊ねたので俺は機内食のヒエをつまみながら頷いた。
「若くて体力にあるうちはそんな旅行もいい。しかしね、歳を取ると金を使った旅の良さというのもあってね」
「それはそうでしょうね」
「ボクはね、個人会社の、まあ小さいとこなんだけどね、一応社長なんですよ。夏休みになると1ヶ月休みを取ってリフレッシュするわけ。行くところは必ず決まっていて、フィリピンの小さい村に行くんだ」
「ウルルンな触れ合いをするわけですね。そういう素朴な交流、憧れますよー」
「地方の女の子というのはそれは可愛くてねえ。でボクが行くと、まず3人の女の子をピクアップするわけ。で代表にお金渡して」
「はい? それはまた随分素朴ですね」
「で、その子たちとマニラに月極で借りたマンションに移動するの。そこで女の子に裸でエプロンさせてボクは1ヶ月一緒に暮らすんだよ。こんな楽しいことってないよね!」
俺は横でニコニコと語る小男の言葉が一瞬理解できなかった。それはまたウルルンに触れ合いすぎていないか?
「え? まさかヤッたりとかそういうのは・・・」
「ヤルに決まってるでしょ! ヤルよ! ヤルとも!(ヤル友とかけていたのか?今となっては不明だ)こっちはヤリに来てるんだからさ!」
なるほど、そういう蜜月タイプの売春ガ存在するのか・・・しかし嫌悪を超えてそのスケールの大きさに俺は胸の騒ぎを抑えられなかった。
「相当お金かかるんでしょうねえ」
「ううん。現地に支払う金と航空券込みで、月10万円で収まっちゃうから!」
「・・・」
「今年で行くの4回目なんだけど、去年行ったら村がノボリを立てて歓迎してくれたしね!」
飛行機がマニラに着陸すると、顔をツヤツヤさせながら「羊たちの沈黙」ラストシーンのレスリー博士のように、意志を抱えた男の背中はアジアの雑踏の中に消えていった。

しかし無数に存在するギョク本たちは、日本で失われてしまった素朴さを一つの土地に託しているとも考えられないだろうか? それが性を通してとはいえ、タイのチェンマイにギョク本は優しさというもう一つの故郷を見ていたのかもしれない・・・
ところで夕刊フジの記事は以下のように結んでいる。

玉本容疑者は90年代前半ごろから、カンボジア北西部のシエムレアプ近郊で10代の地元女性約60人との"ハーレム生活"を続けていた。


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