バックナンバー・練乳工場(2004年1月〜)


3月25日/セックスフレンドが友情出演

帰ってきたTAKUMIX・その世界


2月26日/ソニンの妹分、ソ=ン

私の目の前で、背を丸めた男が火の点いていない煙草を弄びながら、真摯な面持ちで話を続けている。その男とは、哀川翔であった。
1月、都内某所。私は『ゼブラーマン』のプロモーション取材で、兄貴に拝謁する機会を得た。おそらく何度も繰り返されたであろう質問を受けながら、微塵たりとも嫌な表情を浮かべずに言葉を選んでいく兄貴。さすがは『DEAD OR ALIVE』でアライブした男、器がでかい。
しかし30分にも及んだ取材であったが、グラビア優先のため原稿の文字数は800文字。新堂冬樹の小説なら登場人物が一息でまくしたてるほどの短い分量だ。あの場で語られた数々の至言がこのまま闇に葬られていくのは、取材に携わった者として忍びない。私には兄貴の名言を後世に伝える義務がある。そこで今回は「翔、曰く」特別編をここに届けたい。

声が小さい役をやって分かることがある。それは声が小さいと周りの声がよく聞こえるってこと。

「気の小さい先生を演じた感想はどうですか?」・・・インタビュー最初の質問を受けて、兄貴は厳かに答えた。まったくもって真理。麻薬密売人に「例のやつ」とオーダーしたら、レイの花束が届いたような直線直球ぶり。兄貴は難解な言葉で自分を飾ろうとしない。これから広がる兄貴の海は浅いのか深いのか? というより砂場オア沼? スターはいつだって謎を提示する存在だ。

実は俺、小さい頃は泳げなかったんですよ。でも必死で練習して克服した。中学で泳げないとえらいことになるって聞いたから。

次に自分を襲う荒波を察知する能力があるか。その嗅覚がVシネマという大航海から帰れるかどうかを決める。兄貴が耳を澄ませば、心眼は捉える。未来で響いている慟哭の波動を。未来から流れてくる寒流の波紋を。それにしても「えらいこと」って何?

最近は風邪もひかない。忙しいと風邪もひかないってことが最近分かってきた。

風邪をひかないから健康なのか。健康だから風邪をひかないのか。古代から幾多の論争を巻き起こしてきた、永遠の謎が今ここで解かれようとしている。導かれるべき答えはひとつ。哀川翔は風邪をひかない。風邪をひいても認めない。

基礎やってないとスポーツは伸びないよね。基礎をやることで、そのスポーツの力学が分かるんだ。

体操部に入部した兄貴は3ヶ月毎日ジャンプを繰り返し、器械体操のコツを習得した。振り幅の広い役作りは軸を持った者だけに許される特権だ。演技論への移行も滞りないし、今回取材したスポーツ誌『T』の誌面においては「カラダをエンジンにたとえてみよう」理論に匹敵するほど、収まりがいいフィットネスこもれ話。しかし私の勝手な見解で記事には不採用。これだから兄貴からは目が離せない。

食事は時間で摂らない。おなかがすくまでモノを食べない主義。でも朝6時に空腹で目が覚めて、11時には昼食。で、5時には晩ごはんを食べる・・・不思議なもんだね。

ワンダフル・ライフ。他に言葉が浮かばないので、次。

子どもの頃は遊ぶ相手が自然しかないわけ。なんせモノがない時代だったからさ。

遙かなるノスタルジア。少年は自然からしか学べないことがある。都会のアスファルトよりも、土が教えてくれる冷たい感触。ディスプレイに浮かぶゲームよりも、風が伝えるパースペクティブ。皺も汚れもない私立学校の制服よりも、横チン。皺も汚れもない、横チン。哀川兄貴より若干年上の編集者・Eさんが「僕らの世代って、もうモノはあった時代じゃないですかね・・・?」と言いたげな顔を見せたのは、もちろん不問だ。

撮影ではとってもハードだった。両足、肉離れしたし。でも半身浴したら治ったけどね。

さすがは兄貴! 兄貴って叫んでいいですか? 兄貴! 兄貴! 待たせたな! フクスケの! 足袋! 足袋というよりタフ。Eさんの咽喉からは「それは肉離れではなかったのでは・・・?」の声がせり上げかっていたが、私が地獄突きで阻止。ここで聞くべき質問はひとつしかない。「兄貴が身につけているレイバンのサングラス、サンドラのジャケット、ビギのパンツはどこで買ったんですか?」

う〜ん、子供の頃から死と向き合ってきたせいかなあ。(略)何もしないで後悔するなら、チャレンジして後悔したほうがいい。

日刊スポーツのインタビューで、伊藤英明は語った。事務所のチェックは入らなかったのだろうか? チャレンジせずに後悔を避けるべきことも、この世界には存在する。それはキノコ。もしくは中野美奈子。つまりは中野キノコ。


1月5日/箱根駅伝のゴールに立てられたビーチフラッグの旗

年賀状が眼鏡屋からすら届かない正月を送ってるみなさん、あけましておめでとうございます。こんにちは、鈴木工です。実家に帰って久しぶりにカセットテープラックを眺めたら、「オリジナル・ラブ」「小沢健二」「ボストン」としゃかりきなまで負け組が目白押しであることに驚きを隠せません。
さて正月の恒例行事としては、正午を越えると失速することで有名な爆笑ヒットパレードと双璧の存在になりつつある「鈴木工の一人メールアワード2003」。もはや季刊誌化しつつある当HPの最後の砦もいよいよ今年で4年目に突入。趣旨としては私が昨年送ったメールからおもしろサブジェクトを50厳選するという企画で、審査員は例年のごとく林真理子女史、近江俊郎先生、点滴の仮装をした赤塚不二夫審査委員長にお願いしました。
それではご鑑賞どうぞ。

「約束建築で犬小屋を設計する安藤忠雄」
「裸足の歌姫たちは外反母趾」
「NANA(木の実ナナ)」
「牛追い祭を開催するスペインの学園祭」
「深夜特急・女性専用車両」
「マウスが冷たいと思ってよく見たら小さいカマクラ」
「ゴールデン街を採掘しても黄金は出ない」
「レースクイーンを激写するメイプルソープ」
「蕎麦アレルギーだから蕎麦饅頭こわい」
「毒入り饅頭こわい」
「ずっと彼氏がいないあなた(獄中)へ」
「歩行者天国は本当の楽園ではない」
「夏のビーチ、暫鉄剣でスイカを割る五右衛門」
「パントマイムによるエスカレーター式進学校」
「ドリンクがポタージュ系しか置いていないライブハウス」
「千代大海、ベッドの上では小兵力士」
「アサヒスーパードバイ」
「思い出トリンプ」
「ジュンク堂のソファで送るカウチポテト生活」
「被告、リキッドルームの階段をうさぎ飛びの刑に処す」
「小さいつづら?大きいつづら?それともカホーン?」
「成人病が集う成人式」
「傘がない(わらしべと交換したから)」
「パイプオルガン可でピアノ不可の物件」
「3代目なっちゃんが夏目ゆたかに決定」
「延長戦を「ハシゴ」と呼ぶ今井雄太郎」
「拝啓、ジョン・レノン(文責・ショーン・レノン)」
「韓国版ごきげんようで転がすのは巨大カクテキ」
「夏の扉を開けて(小型爆弾で)」
「夏の扉を開けたらセコムが始動」
「フレンドパークのダーツが関口宏の延髄を直撃」
「武器商人しかいない商店街」
「タンス裏の小銭が自由に取れるユビキタス社会」
「松坂(季美子)世代」
「起死回生でキャセイ航空が資本金をマカオのバカラに投入」
「NOVAウサギがピンクなのは皮を毟られたから」
「マラソン給水所に蜆の味噌汁」
「お花見会場の上から枯葉剤を撒布する米軍」
「酒池(トリスのボトル)肉林(魚肉ソーセージ1ダース)」
「スカイマークエアラインの燃料は“浮遊感”」
「ドメスティック・バイオレンス?コスメティック・ルネサンス?」
「ピッキング対策として障子紙を二重に」
「Change the 東武ワールドスクエア」
「イノセント東武ワールドスクエア」
「冬季オリムピックにわかさぎ釣りを採用」
「ディナーショーを発明したのは松崎しげる」
「客と会おうとするテレクラ口調のカスタマーセンター」
「秋ナスは嫁に食わすな(宗教上の都合で)」
「ネットオークションで養育権を落札」

さて今年の輝けるメール大賞は、大学時代の後輩である金谷くん、8年前に貸した月刊カドカワとライブビデオ2本を未だに返してくれない金谷くん、メールアドレスがkanaya@nyp.netの金谷くんに送った、彼が大好きだった谷村有美「愛は元気です」をモチーフにしたためたサブジェクトに決定しました! ということで私はこれから近所の公園に服部半蔵VSゲーラカイトの喧嘩凧を見に行ってきます。それではまた来年。

「愛は前戯です」


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