語らず、笑え

笑いを見た記録・2003年上半期


6月30日/ルミネtheよしもと「2h」
6月28日/ルミネtheよしもと「チハラトーク」
6月22日/baseよしもと「SUPER base LIVE」
6月21日/大阪府立体育会館「ダイナマイト関西」
6月20日/NGK「NGK漫才大計画」
6月9日/ルミネtheよしもと「ジェットボールアワー」
6月5日/ルミネtheよしもと「JIN JIN WORLD」
6月2日/ルミネtheよしもと「ホームラン寄席IN TOKYO」
6月1日/ルミネtheよしもと「カリカ・コント」
5月24日/ルミネtheよしもと「チハラトーク」
5月20日/シアターモリエール「タカアンドトシライブ・女子プロレス」
5月12日/シアターVアカサカ「サバンナのハイエナ」
5月10日/浜松町Rock Studio「本間しげるライブ」
5月3日/ルミネtheよしもと「吉本寄席」
4月30日/ルミネtheよしもと「2h入れ替え戦」
4月26日/ルミネtheよしもと「チハラトーク」
4月25日/アートスフィア「NOTA〜恙無き限界ワルツ」
4月9日/ルミネtheよしもと「2h」
4月8日/青山円形劇場「板尾創路ひとり芝居・I I I(アイ・アイ・アイ)」
4月8日/横浜にぎわい座「三遊亭楽太郎一門会」
4月4日/テレビ東京「ウラ関根TV」
3月21日/ルミネtheよしもと「2丁拳銃・百式」
3月15日/NHKスタジオ「爆笑オンエアバトル・チャンピオン大会決勝」
3月9日/鈴本演芸場「早朝寄席」
2月26日/草月ホール「チハラトーク」
2月22日/ 東京芸術劇場「WAHAHA本舗”踊るショービジネス”」
2月20日/ クロスタワーホール「志らくのピン」
2月14日/ シアターモリエール「童貞チョコレート」
2月5日/ ルミネtheよしもと「5じ6じ」
2月2日/ サンシャイン劇場「笑いの神様」
2月1日/ ルミネtheよしもと「5じ7じ」
1月27日/草月ホール「チハラトーク」
1月24日/ ルミネtheよしもと「大☆大☆ダイノジ」
1月23日/ クロスタワーホール「志らくのピン」
1月22日/ 北沢タウンホール「東京ダイナマイト”恐竜”」
1月20日/ シアターVアカサカ「千原浩史の「囚」」
1月7日/ルミネtheよしもと「7じ9じ・漫才まつり」
1月1日/MBS毎日放送「オールザッツ漫才」

6月30日

ルミネで2h入れ替え戦。
なぜ今日足を運んだかというと、以前見て気になっていたPOISON GIRL BANDが、破竹の勢いで入れ替え戦に駒を進めた情報を入手したから。久しぶりに見ると、これが記憶をさらに太いラインでなぞるようなローテンションの引きまくり漫才。ボケとツッコミの声質も無機質感も似ていて、間とか技術が存在するのかすら、よく分からなくなってくる。しかし発想がここ最近の若手にはない飛びっぷりで、断然面白い。一歩も二歩も間違えてM−1決勝にでも登場してもらいたい物質である。

6月28日

ルミネで「チハラトーク」。
VTR企画で、寝起きで嬉々として大喜利に挑戦するJrの姿に衝撃を受ける。まさにお笑いノイローゼ。しかし大喜利がすぐそこにある生活というのは羨ましいかぎりだ。これがユビキタス社会到来というやつなのか。

6月22日

関西遠征3日目。マンガ喫茶のテレビで「ZAIMAN」をじっくり鑑賞する。鮑を捕る千鳥の漫才が面白い。自然現象にちなんだネタが多いくせに、「エコロジー」や「癒し」の空気と全く無縁なのも魅力である。
そのあとはbaseよしもとでSUPER base LIVEを。プラン9は病名告知の風景が吉本新喜劇テイストになってしまうコント。全員が演劇寄りの芝居をしているのにかかわらず、ナギナギオだけ、その立ち振る舞い、存在感、全てがコント仕様で、出てくるだけで客席からニヤけた笑いが漏れた。漫才やらベタなコント方面で活躍してほしい人材である。 さらにトークコーナーでは、話の流れを無視して「カウントダウンTVの隅で踊る動物の動き」を披露し、あまりの舞台と吊り合わない熱量と激しさに、MCの10$に強制退場させられる始末。やっぱりこの人はコントの国の住人だ。

6月21日

関西遠征2日目。大阪府立体育会館でダイナマイト関西。
入場者数4500人。約5時間の長丁場。一対一の大喜利対決トーナメント戦は、もう何から書いていいか分からないくらい中身の濃いイベントだった。記憶に残った光景を箇条書きで。
・オープニングのバッファロー吾郎VS雨上がり決死隊の大喜利対決で、決めの瞬間、ありえないタイミングでセリフを噛んだ蛍原。結果的に会場は爆笑でオチもつくミラクルに、雨上がりの勢いを感じる。
・おぎやはぎ小木の初参戦でアウェイとは思えない、重くて厚みのあるギャグ。そのラッシュに普段全く動じないケンドーコバヤシがペースを乱す。それにしてもナチュラルな才能でこの世界を生き抜く(ように見える)ケンドーの横に据えても、小木の努力係数は異常に低そうだ。
・お〜い!久馬と渡辺鐘のギャグホリック対決。「ブルース・ウイルスの取扱説明書には何が書いてある?」という難易度の高いお題に渡辺は「時々タバコを吸いながら尋常でなく顔をしかめますが故障ではありません」の見事な回答。それに大して久馬は、「お子様の手の届かない存在です」。鳥肌が立った。絶対勝てません。ボケ倒しすぎて彼女にふられたという久馬の業の深さを垣間見た気がした。
・たむらけんじと次長課長河本の茶番マッチは、だだすべりの回答にかかわらずスベった状況を笑いに転化していく手腕が見事。ボケ担当の河本は全く得をしないはずのに・・・。真剣勝負を謳ったイベントで、こういうコント寄りの企画を投下してくるセンスに感心する。
・バッファロー吾郎・竹若は、全くスタミナ切れしない、常に中火で沸騰しているような安定したギャグセンスで堂々の優勝。京都出身であることを含めて、本当に侮れない男である。
イベントが終了した府立体育館にはおごそかにビリー・ジョエルの「ピアノマン」が流れ出した。客の誰もがえらい時間を共有してしまったとでも言いたげな顔をして立ち上がり、会場は静かな感動に包まれた。そしてステージには参戦した芸人たちのダイジェスト映像が映し出される。そこに登場しただけで失笑が漏れていたリットン調査団・水野。この文章を読んでる君たち、これが本当の笑いのカッコよさなんだ。分かるか?

6月20日

関西遠征初日。NGKで「漫才大計画」。
印象に残ったコンビは笑い飯、麒麟、ビッキーズ、シャンプーハット。笑い飯は普段の均等なバランスでボケをかぶせていくパターンではなく、西田がネタふり役に比重を置いた漫才。こんなパンチも繰り出せるとは・・・。ボケ&ボケの方法論が突出して語られやすい笑い飯だが、真のすごさは手段を変えても笑いを取りにいける、“笑い”の太い幹がお互いの中に屹立していることなのではないだろうか。
あと毎回ふれている気がするが、ビッキーズの須知は2階席でも声がよく通ります。次回もビッキーズを生で見たら同じ事書くから。

6月9日

ルミネでフットボールアワー単独ライブ「ジェットボールアワー」。
漫才2本にコント5本の充実しすぎたライブ。後方のM−18・19席に座ったバカで年増のゲボ女二人組が声を出してツッコむ愚行をしていなければ、200点は叩き出していたことだろう。
特にコントの多彩ぶりが圧巻で、部屋の壁を突き破ってきたロケットパンチでもめるコントは、ごっつええ感じ風。マンションの住民に注意を促すコントは、ベタな変身技が吉本新喜劇のノリ。機内のパイロットがヒマをつぶす不条理感はシティボーイズライブの質感で、大阪出身フォークデュオ「レモンティー」のライブコントに至っては、イッセー尾形に通じる人物模写の要素すら感じさせた。そのどれもが何かに似つつも、フットボールアワーにしかできないネタばかり。
さらに幕間の画像もコントとリンクしていてどれも面白いというレベルの高さ。ネタの量産力、キャラとルックスのバランス、現代のお笑いコンビとしては理想系だろう。もう全国区は見えてきてるのだから、さっさと今年のM−1で優勝して東京進出してほしい。談志が爆笑問題に初めて会った時、太田の耳元で「天下取っちゃえよ」と囁いた話は有名だが、私も二人の耳元で同じセリフを言ってやりたい気分である。って俺は誰なんだ。

6月5日

ルミネで陣内孝則ソロライブ「JIN JIN WORLD」。
ソロコント4本、ユニットコント、木村祐一とのトークの構成は意欲的な内容・・・と書きたかったが、ピンネタは普段テレビでかけるほどグレードが高くなく、ユニットコントは伏線を張りまくったわりには予想の範疇。木村とのトークも6分の盛り上がりで消化不良な内容に。
私が陣内を知った頃は既にネタが面白くて仕切りもできる高感度芸人だっただけに、よく関西芸人が語る激烈に天然な一面を知らない。しかし木村とのトークでクイズを出題しながら、仕掛けを忘れる炎の天然ぶりは面白かった。それにしても陣内は俺と出生日が6日か違わないとは。千原Jrの1ヶ月違いよりショックな気がするのは何故?

6月2日

ルミネで「バッファロー吾郎のホームラン寄席IN TOKYO」。
待望のバッファロー吾郎の純血興業。ゲストがスチャダラパーで素直に喜ぶ。
気になったのは最若手の中山功太。舞台で声が出てなかったりとキャリアの乏しさを感じさせたが、大喜利やネタで見せるセンスは絶品。暗い文系男の臭いが迸って私の好みだ。友近はキャバレーの花形に扮して、前に見たルミネの滑りっぷりが嘘のようなはじけた舞台だった。中途半端に美人だしポンポン売れていきそう。
頭ひとつ抜けていたのは、バッファロー吾郎の「妙齢の女二人が結婚式のスピーチを考える」ネタと、ケンドーコバヤシの舞台での態度。バッファローは自分たちが面白いと捉えている固有名詞を違和感なくコントに織り込むことに成功している。そこにマイナー臭が漂わないのはキャリアがなせる技だろうし、実際にこの手法は唯一無二なのではないか? ケンドーコバヤシは余裕に満ちていて、「いつどこからでも面白いことが言える」オーラが漂っていた。一発ギャグでは編み笠を股間にあてて「中国のナプキン!」 素晴らしすぎる。そのギャグに漏れそうなくらいだ。

6月1日

ルミネで「カリカ・コント」。
ライブが終わって京王線に乗り込んだ俺は手帳に今日のネタを書き込んだ。
1・坊主がTシャツを破りあうコント 2・で、落し物は何ですか?(交番コント) 3・ルミネ池(客を魚に見立ててギャグの餌を与えるコント) 4・今頃ジャケットの奴 5・バイト帰り〜飛び降り自殺〜 6・汗拭いていいですか?(手術コント) 7・バトミントン風 8・1ルーム 9・舞台独り占め 10・ベンチにて
なぜメモしたかというと忘れて記憶が風化するのが勿体なかったからだ。単独らしい遊びに満ちた2、カリカらしい擬人法で構築された3、言語の飛躍がただならない5と6、7と8では家城の身体性、9では演技力が炸裂しまくった。もう現在のコントのバリエーションにおいてカリカは独走状態。
ふと気がついたが、代表的な「笑い方教室」は落語の「欠伸指南」に似てるし、6はモンティパイソンを思わせる。7に至ってはエレキコミックっぽいし、9の河童がシリアスな演技をするところは「ごっつええ感じ」そのものだ。
とはいえ、カリカのコントを見ているとそれらの似たコントから影響を受けた感じは全くしない。笑いを追及していったら、たまたま結果として同じ地平にたどりついただけなのだろう。
それにしてもこれが全部新ネタってどんな力量なのだろう。カリカにはかなわない。家城の気持ち悪さにも、林のロリータぶりにも、ついでに選曲が全部槇原敬之だったことにも、とてもかなわない。

5月24日

ルミネでチハラトーク。
普段ほど調子が出ない感じ。平日の草月ホールの方がしっくり来ていたように思うのはノスタルジーだろうか? もっとも面白かったのは、もし阪神と近鉄が日本シリーズを争ったらという話に及んで、靖史が素で呟いた「黄色と赤の戦争やで・・・」。こういうリアルな声を聞くたび、私はつくづく関西人と仲良くなれないと思う。

5月20日

シアターモリエールでタカアンドトシソロライブ「女子プロレス」。
上京後2回目のソロライブが低調だったのでしばらく足が遠のいていたが、今回はうってかわって粒がそろった舞台。ラストに披露したひとり旅をテーマにした漫才と、オバサンに女装してただひたすら技をかけあう女子プロレスコントが全く意味なくて笑う。
そういえば先日の吉本寄席で千原靖史がタカに「ゲイちゃう?」と指摘していた。確かに線の細さやファッションセンス、あれからタカがゲイに見えて仕方がない。前に出るオカマキャラではなく、あくまでも隠し味的なゲイキャラは新鮮なのではないか。この際、芸名もゲイアンドヘテロに。全然隠し味ではないが。

5月12日

シアターVアカサカで「サバンナのハイエナ」。おそらく新ネタであろうコントを7本披露。
関東にいてはほとんど見る機会がないサバンナだが、今まで見かけた柔道の型コント、風紀委員コント、生理の授業コント。どれも高橋の独特な皮膚感覚が光ったし、八木の全く理解不能な一発ギャグ集も私の好みで、なぜもっと売れないのだろうと疑問を持っていた。
そして今回見たかぎりでは「濃いように見えて薄い」印象。新ネタを量産しすぎて、一つ一つのネタのキャラや設定を煮詰めていないような感じがする。二人が並んだだけで爬虫類的なあやしい艶があるので、もっと高いレベルを期待したい。それでも最後に次長課長らの客演を招いて披露した“どんどんお詫びが過剰になるコント”は、展開の読めなさが秀逸。
そして今日のライブで気がついたこと。ガタイのよい八木は声がデカくて高いのに、通りが悪い。

5月10日

浜松町Rock Studioで本間しげるライブ。
浜松町駅を下りて倉庫街を抜け、宅配便集積所のビルの4階に上がるとそこには箱のようなスタジオが存在していた。ここでライブが行われるのかと不安に思いつつ、おそるおそる受付で当日券を買おうとすると、わざわざ長野から上京してきた大学の後輩・医薬部外品に遭遇する。
ライブのオープニングは「地方議員の乾杯挨拶」。それからは「正義の味方・スペシャルマン」「暴走するおばさんの結婚式スピーチ」「マザコン青年のお見合い」「サーヤを愛した男」と続いて、最後の挨拶に「Hitomi」。最後の二本は完全にメディアに背を向けた内容で、Hitomi登場には客席に戦慄が走った。
演劇用の会場ではないための劣悪な音響、新規客の開拓を無視した料金設定(7000円)のマイナス部分を除いても、ここ近年ではもっとも気合の入った出来。幕間のビデオも「YAZAWAのレコーディング」から過去の名作選と内容が濃い。もはや古典落語のように名作化した旧作を織り交ぜながら定期的にライブを存続してほしいと思った客は私だけでないだろう。
医薬部外品と私は、初対面になる医薬部外品の友人・A君と新宿に繰り出し、本間しげるの素晴らしさについて語る。しかしなぜか一時間後、話は私と医薬部外品の共通の知人・和田がどれだけ心が汚れているかをA君に説き伏せる内容に変わっていた。
今日のバカ客・私の右隣にいた子連れ女。「Hitomi」ネタを期待して今日訪れたらしく、ネタが終わるとスタンディングオベーションで「ブラボー」コール。そんな汚い笑い声で嬌声上げたいなら初台オペラシティ行け。たまたま大人しかったとはいえ子供を連れてくるのも押し葉なみの無神経さ。20バカブラボー。

5月3日

ルミネで吉本寄席。千原兄弟のMCに若手がネタやらトークやらゲームやら。
大喜利はほとんど千原Jr頼みで、トークも全部千原兄弟がコントロールしている状況。ネタでは遠足ネタを長めに引っ張ったタカアンドトシ、コント55号を見るような全近代的野球コントのアップダウンが面白かった。しかしいつのまにかパンチパーマをかけていたアップダウン阿部はどこへ向かおうとしているのか? 同行したビーンズ遠藤の指摘通り、東野にキャラがかぶりすぎだ。
今日のバカ客・右隣にいたゲラ女二人組。好きな芸人なら何言っても爆笑。下手すると何か言う前に爆笑。時空軸を無視したバカ。二人合わせて50バカに80ブス。

4月30日

2h入れ替え戦。対戦形式で思いもよらぬ緊張感が生まれることを期待したものの、舞台全体はゆるい出来。大喜利コーナーでは、あべこうじとほり・あずみ堀がネタに比例したポテンシャルの高さだったのは予想の範疇だったが、全く期待していなかったじゃぴょん。の植松が不条理センス全開で感心する。だいたひかるのネタも吉本の色に染まってなくて良い。
それにしてもかなり客席を沸かせていたラフ・コントロールは何が面白いのだろう。品川庄司、中川家・・・どこかで見たようなギャグをつないだようなリズム漫才。成長段階であればどこからギャグのニュアンスをパクっても許されるのだろうか。芸人に否定的な意見はあまり言いたくない。でもラフ・コントロールと同じ系統の漫才は横溢していて、どれもギャグの上辺が低く、私の心は全く躍らされないのである。こんばんは、言うだけ番長の吉川潮です。
今日のバカ客・私の右隣に座った、ハンチング着用の風船状にふくれた女。舞台中はずっとビデオを回し、暗転すると携帯電話を取り出してメールしていた。普段だったら注意しているが、あまりにも救いがないため、叱ったら存在を全否定しそうな気がして断念する。40バカ。

4月26日

草月ホールから場所を変えて今月からルミネで開催されるチハラトークへ。
警察取調べ究極の手段、DVDパッケージの話.など、放送不可能な話に客席がどよめく。前に千原Jrが話していた本物の殺し屋の話も同系統であるが、こういう笑いは薄くてもダークサイドな話で沸かせられるのも千原兄弟の魅力か。
ルミネに仮設された芸人の作品展で、いいなと思っていたチハラトークの写真がJr撮影と知って驚く。どう見ても福山雅治や緒川たまきより上手いだろうこれは。見たことないけど。あと藤原紀香よりも。見たことないけど。

4月25日

執筆中

4月9日

ルミネで2hを初の観覧。4月からシステムが変更になり、後半1時間は今までの5じ6じと同じ構成で、前半1時間は3層に分割された5じ6じ芸人の中間層がネタを競いあう「あっちこっちバトル」に。
ほり・あずみのコントは、「オリンピック競技・パイプ椅子」。ネタの発想、トークの達者なアドリブ、よく通る声質・・・このレベルでは頭ひとつ抜きん出ている。というかよく見たら、元・関西吉本のナメリカじゃないか。上京してから「ジャンボリー」やら「ボンジャック」やら五木ひろしなみの変名イリュージョンを繰り広げ、インディーズ系の舞台に立っていた彼らのたどりついた芸名が本名とは。必要以上に長いキャリアと、関西出身にしては珍しくボケツッコミの形式にとらわれないネタ。上に上がってくるのは時間の問題だろう。
2h芸人組では黒いパーカーで登場したカリカ林に会場がどよめく。しかもパーカーに刻まれた二文字が「WE」。「WE」って。「WE」はないだろう、「WE」は。「WE」だぜ? 「WE」。

4月8日

青山円形劇場で板尾創路ひとり芝居「I I I(アイ・アイ・アイ)」
板尾創路、倉本美津留、宮藤官九郎と、嫌味でなく才能あふれる3人のコラボレーション。宮藤が担当した演劇的な部分+板尾の芝居のうまさ、倉本が担当した大喜利の部分+板尾の芸人としてのアドリブ力がほとんど融合することなく閉幕する。
最後に倉本氏が出てきて客に「難しかった?」とヒゲ面でニヤつくが、困難かどうかは作り手の理屈で、客にとっては期待より笑いが少ない舞台でしかなかった。そういう状況で語られる「演劇的」という言葉はどこか逃げの響きがする。
とろろ山菜月見そばを頼んだら、やっぱりとろろそばだけ注文しておけばよかったという印象を抱きながら宮益坂を下った。

4月8日

横浜にぎわい座で「三遊亭楽太郎一門会」。
昼の桜木町まで足を運んだのは、元・楽太郎の弟子である三遊亭楽大こと伊集院光の高座が見れるからだ。十年前に落語家から足を洗って以来の寄席だという。
前口上で新旧弟子と師匠がからんだあとに伊集院は一人で登場。第一声が「いやー楽ちゃん丸くなったねー!」
危険地帯にスペースを見つけて瞬時に切り込む伊集院の敏捷性。それを生で拝めるのはつくづく有難いかぎりだ。ただ現役の落語家に気を使ったのか、舞台の話は弟子時代の思い出で、どこか公開ラジオの雰囲気。やはり狂気と速度が突出した伊集院の古典落語を見てみたかった。
楽太郎のネタがあまりにも自由な展開なので新作かと思ったら、「お血脈」という古典。話の解体ぶりに伊集院のルーツを少し感じた。それにしても平日にかかわらずたんまりと来場していた20代の客はどういう職業なのだろう? スチュワーデスとデパート勤務がいないことだけは断言できるが。

4月4日

テレビ東京の深夜に始まった「ウラ関根TV」を見る。
私が生涯においてもっとも笑い転げた舞台として記憶しているのが、10年ほど前にブレイク前の関根勤が三軒茶屋・欽こん館で行った「グダグダ言うだけ」である。
関根がお気に入りのビデオを持参し、トム・ジョーンズの舞台に「なんだよ、この大量の汗! “汗王”だよ!」、リングスに参戦した口だけ番長の挌闘家に「弱え〜、弱すぎるよ!」と、本当にグダグダ茶々を入れるだけのライブ。しかし関根ファンで埋められた場内は、明け方の部室で交わされるヨタ話のような異常テンションが煮沸し、ライブが終わると誰もが笑い疲れているという、密室芸の強さを見せつけられる至高の舞台だった。
その空気感に酷似した番組が裏セキネTVである。ゲストを招いて関根勤がビデオを見ながら、完全に自分の世界でグダグダトーク。ゴールデンではなかなか目にできない「水着モデルに一喜一憂する関根勤」は特に絶品だ。金曜の夜に「2代目・タモリ倶楽部」を襲名するのも遠い先の話ではあるまい。

3月21日

執筆中

3月15日

渋谷NHKでオンエアバトル・チャンピオン大会の決勝収録。
友人が森下アナの強引な知人というきわどいコネを利用してスタジオ内に潜りこむ。甲子園の決勝を見にいくようなテンションで挑んだものの、どの組も準決勝でいいネタを投入してしまったらしく、登板過多のエース格を温存した乱打戦のように締まりのない決勝に。
安定感のある構成のアンジャッシュ、ベタな反芻がツボをはずさない10$、決勝大会にふさわしくない同世代に特化した言葉いじりを展開したユリオカ超特Qが良い出来。ビッキーズは生で見ると押しが強くて声が通って、ネタの出来は置いておいてますますファンに。
しかし前に座っていた元ヤンキー風夫婦の家族(おそらく千葉県民で休日には一日車を磨いている)は、陰陽のフォルムを見ているかのように笑いのツボが全く正反対。相変わらず質か高いネタを量産しているスピードワゴンも、会場の評価は下から2番目だった。やはり“庶民”はいつの時代でも全てのいいネタを理解するまで目が肥えていない存在なのだろう。とはいえ優勝は順当にアンジャッシュに。
入場前、横にいた女性がノートを広げていたので覗き込むと、そこに羅列されていたのは、過去放送分の芸人の全点数と自分の評価コメントだった。まさにキチガイ星雲の一等星である。こういう笑いを数値化して自分の中に小王国を築こうとする輩が、笑いを腐らせているのだ。しかし同行したビーンズ遠藤によれば、会場に入った瞬間、「今、芸人が舞台裏でネタ合わせしていると思うと興奮するぜ!」と嬉々として語った私も同等に頭がおかしいらしい。

3月9日

執筆中

2月26日

執筆中

2月22日

執筆中

2月20日

渋谷クロスタワーホールで志らくのピン。マンションの鍵をなくして困った、という落語のような身の上話から「子ほめ」「らくだ」「寝床」と来て、シネマ落語「ハリーの災難」。
最近の公演の中ではもっとも満足度が高い舞台。「寝床」の漫画を見ているような騒々しい描写が楽しい。「らくだ」は前にCDで聞いた談志の高座があまりにも凄みがあったので、それとくらべるといささか物足りない。それにしても「らくだ」は善人が出てこないひどい噺だ。善人どころか、生きたらくだすら出てこない。

2月14日

新宿シアターモリエールでダイノジの「童貞チョコレート」。男子限定ライブのふれこみに惹かれて足を運ぶ。
客席に座った約50名の野郎どもは、私を含めて「自衛隊」「男子高」のような荒くれ度は薄く、「交通刑務所」のようなパワーのなさ。ダイノジが登場して野太い笑い声が会場にこだまする。演者との距離の近さといい、ネタ見せに来ているようだ。男を対象に飛び道具的なネタを仕掛けるかと思っていたダイノジは、冗談かと思うほどしっかりと漫才とコントをこなしていた。
しかしネタが終了してフリートークになると、なだれこむようにオナニー&風俗ネタへ。こんな空気で下ネタを連発してつまらないはずがなく、童貞AMリスナーのような気持ちに返って笑わせてもらった。
ライブが終了すると出口で大谷と大地が客全員と固い握手を交わし、コンドームのプレゼント。悔しいが、ちょっと得した気分だ。その足でTUTAYAに寄って、大谷が絶賛していた及川奈央のAVを探すが、レンタル中だったので痴女の企画ものを借りて帰る。

2月5日

執筆中

2月2日

サンシャイン劇場で「笑いの神様」。
アングラ系、演劇系が目立つ出演陣。大川興業から送り込まれたピン芸人・名刀長塚のモロ師岡に似たサラリーマンコントが神経質に作りこまれていて面白い。江頭、松本ハウス、藤井モウとコンスタントに衝撃的芸人を生産する大川興業の懐は深い。
結果としては準トリで登場した長井秀和が全部持っていった印象。千葉県民虐待ネタは、自身が県民であることを隠すために千葉県民も笑っているので、意外と安全圏なのかもしれない。

2月1日

ルミネで「5じ7じ」。
タカアンドトシ、森三中、麒麟、COWCOWが目当てだったものの、ほとんど知っているネタばかりで少し寂しさを感じる。うまい棒の気ぐるみを着たコントのCOWCOWは、漫才ほど多田の爆発力が伝わってこなかった。
ペナルティは時期を全く無視したクリスマスコント。くだらなすぎる。本当にこいつらバカ。昔はメリハリのないコントで好感を抱けなかったペナルティ、いつからこんなに面白くなったのだろう。脇田のコスチューム、野口五郎の真似、変な踊りは、ただ「それがやりたいだけじゃねえかよ」と言わずにはいられない妖しい魅力を放っていた。

1月27日

執筆中

1月24日

ルミネで「大☆大☆ダイノジ」。
ダイノジを中心にロバート、インパルスなど粒ぞろいのタレントを集めた集団コントライブ。インパルス堤下が熱唱する中西保志の「最後の雨」が、それだけで猛烈におかしい。ダイノジのネタでもある「ナルシスト飼ってよ」では、横に喋らない相方を配置してバンバン状況説明していく大地が達者で感心する。ポイントで噛まなければもっと評価高いのに。
後ろのL列1番に座っていた女に気が散る、自分の笑うツボを口に出して反復しなければ気がすまないバカ女。単位で言うと5万シネ(1万シネ=万年永久生理になって固めたナプキンを墓石にして死ね)。ちなみに前席に座っていたのが長身の人物。左右にうるさい奴がいるとサラウンド効果で意外に気にならないが、前後で不自由な人間に囲まれるとどうにもならないことを発見する。

1月23日

執筆中

1月22日

執筆中

1月20日

シアターアカサカVで千原浩史「囚」。
外人が翻訳文調の日本語を読み上げる「ジム・バーキン」。小学校の学級会をひとり芝居で演じる「終わりの会」。調整室から次々と奇妙な指示を繰り出す「堤D」など。
特に秀逸だったのは、自分のデスマスクに装飾をほどこし、それを見ながらアドリブでコメントを重ねていく「こうじくん 44センチメンタル」。こんな追い込まれた状態で笑いを作れる芸人は松本人志と太田光、あと堂本剛ぐらいだろう。
というものの、松本が「一人ごっつ」で作った轍の上を走っている印象は否めない。先人の轍は深いが、Jrには深さよりスピードでその地を走りぬいてもらいたい。バイク事故を起こすことなく。
今日は伝説を見損ねた。

1月7日

ルミネで7じ9じ・漫才まつり。
フットボールアワーは何か薬でも使っているのではないかというくらいに加速度的に面白くなっている。この日披露した「未亡人ごっこ」「ヤクザが凄みながら漫才」のネタは、M−1の決勝で出せば、予選と違うパターンなので優勝したのではないだろうか。コント寄りの漫才にシフトチェンジしてから二人の才能がはじけまくっていて、末恐ろしいかぎりだ。
一番あとを引く笑いを取っていたのは、恋愛の過程をABCからZでたとえていたCOWCOW。彼らの出番では必ず会場のどこかで一人は酸素吸入困難に陥っている。この日連発していた「帰れ〜」など、多田のフレーズを文章化しても面白さが全く伝わらないところがすごい。

1月1日

関西から送られてきた「オールザッツ漫才」のビデオを早速チェックする。
若手トーナメントでは気になっていた千鳥、友近、麒麟、笑い飯の4組が最後まで残った。このヤフービービーなアイティー時代にカタカナがないことが驚異的だ。
全く健やかではない芸風の千鳥と笑い飯は、ネタのチョイスも民族博物館だの、和式便所だの、若手で主流の恋愛ネタや懐かしい学校ネタと一線を期していて、このような破綻のパワーに満ちた荒い笑いが関西の女の子に支持されている現実に少し驚く。
友近もルミネで反応が薄かった「お笑い養成所で自分は面白いと勘違いしている奴」ネタでガンガン受けていた。他のネタ「エステのコースを説明するお姉さん」や「女優のトークショー」も生活感覚が関西圏限定という感じだが、十分面白さは伝わり、順調に売れそうな気配を漂わせていた。
それにくらべて、面白いのにかかわらず、どこか頭打ちの印象を受けたのが麒麟。ネタ以外のコメントでも川島はココリコ田中、ユウキロックのMC並みに面白いことを言おうとする気概が見えなかった。しかし麒麟のポテンシャルはこんなものではないだろう。捲土重来を期待したい。他に若手で気になったのはダイアンとバッドボーイズ。ネタ組では陣内智則、バッファロー吾郎、たむらけんじで笑う。ふんどし一枚で登場するなり、芸人観覧席から「帰れ」コールを一斉に浴びていたたむらけんじ。ポスト西川のりおの名に恥じないステージだ。最高。


(過去の笑いを見た記録)

(最新の練乳工場)