入院の際の小ネタを。
病院の空気は平日でも昼間でも濁っている。俺は大部屋のベッドに横たわりながら、斜め前のベッドで独り言を呟く佐野さんを見ていた。
横のベッドにいたのはサッカーで脱臼骨折した上島くんである。浅黒い肌をした、礼儀正しい中学3年生だ。
そうして退院し、自分の部屋でクサッていると手元の携帯電話が震えた。 |
今回は他人の褌。
東スポ。どうなんだろう今東スポをネタにする行為は。
下界の世相をたたっ斬る「いたこ通信 降霊!勝新に訊け」
新聞だよな? |
自転車転倒で右手首を骨折してしまった。 仕事はおろか些細な生活もどうにもならず、心底凹む俺の元に友人から激励メールが届く。やっぱり痛みに勝るものって友情しかないんだね・・・ うんこ野村「右腕折ったって左でおなってろ」 パット森田「マジで骨折?左手でオナニーするのも新鮮かも!」 ビーンズ遠藤「オナニーがやめられなくて右手を折ったのか?」 ふざけるなおまえら。俺はそんなにオナニーが好きか。俺といえばオナニーなのか。というより俺は鈴木工じゃなくてオナニーそのものなのか。 俺はオナニーが丘の総理大臣か。オナニー男爵か。オナニー大学日本校か。肉を斬らせてオナニーを断つか。ホップステップオナニーか。いまならオナニー小鉢がついてくるか。3番パチョレック4番オナニーか。火の鳥オナニー編か。青春の門オナニー編か。ねじまきオナニー・泥棒かささぎ編か。いいことあるぞミスターオナニーか。海・空・オナニー・無限大か。シャア専用オナニーか。大きなオナニーの木の下でか。国士無双オナニー待ちか。オナニー・新羅・高句麗か。オナニー&ジョンソンか。本庄市保険金殺人の外人妻オナニー・サトウ・カワムラか。アリーナ席2階席オナニー席か。オナニーパワーステーションか。オナニーが消えないうちに3回お願いか。オナニーをためて沖縄に行こうか。オナニー穴のむじなか。オナニーグレイテストヒッツか。日本盤のみオナニートラックか。地中海風オナニーの包み焼きか。onany@docomo.ne.jpか。男拿迩威(おなにい)か。いいかこの街で何かあったら必ずオナニーのとこに来いか。宛名はオナニー様でよろしいですかか。働けど働けど我が暮らし楽にならず、じっとオナニーを見るか。国道を直進してフォルクスの手前オナニーを左折か。チョークが飛んできたハイスクールオナニーか。ますだおかだは465キロオナニー獲得か。クイズミリオネアのライフラインでオナニーを選択か。いらっしゃいませお飲み物は?アンバサですか?当店サイズはオ・ナ・ニーの3種類ございますがか。a辺とb辺の長さがc辺と一致する時オナニーの値を求めよか。サイモン&オナニーファンクルか。オナニー&オナニーファンクルか。ミス・オナンソンか。オナモニ。か。やっぱりイナバだ100人オナニーしても大丈夫か。欽ちゃんの良い子・悪い子・オナニーばかりしてる子か。ドとレとミとファとソとラとオナニーの音が出ないか。ドとレとミとファとソとラとシのオナニーが出ないか。ドとレとミとファとソとラとシの音が出ないかオナニー。オナこそニーけれか。カルトピューか。尾奈山第二中学校略してオナニー中か。2LDK日当良角部屋駐車場オ有か。オナニーなのか。オナニーじゃないのか。オナニーであるべきなのか。オナニーであるようになのか。心で祈ってるのか。オナニーであるようになのか。心で祈ってるのか。 左手一本と右脳オナニー、もとい右脳オンリーで書いたらこうなった。早く右手首が完治して幸せになるように心で祈ってる。 |
男の夢。それ即ち社長との邂逅である。 就職試験がドツボにはまった大学4年の時、俺は資料請求とセミナー申し込みを打ち切り、ひたすら電車に乗り続けていた。 なぜか?答えは簡単だ。朝の満員電車。殺人的な人圧によってしらすせんべい並みに圧縮された老人。見かねて彼に席をゆずった俺はその日の午後、「愛の嵐」の再放送に釘付けになってしまったばかりに有名大手企業の最終選考に遅刻してしまう。 「貴様は会社を舐めてるのか!」と「ひとひらの雪」の緒方拳ばりに俺につめよる人事部長。嗚呼、このままでは許してしまいそう・・・ 達しようとしたまさにその瞬間、 「き、き、君はあの時の・・・」と奥の藤椅子に深々と腰掛けていた社長が髑髏の杖を頼りに起き上がるのだ。それはまさに今朝のしらすせんべい・・・即採用。即支社長。 もちろん大人になった今ではこの話が誤りだらけであることは承知である。社長が満員電車に乗らないこと、電車ばかり乗っていては最終試験にたどりつくためのセミナーにすら参加できないこと、社長は「君」ではなくて「チミ」と言うこと、「ひとひらの雪」に出ていたのは津川雅彦であること等々。しかし「釣りバカ日誌」のように、ひどくさりげなく社長と知り合いたい気持ちが衰えたことはない。 そして先日、俺はついに旅先の沖縄で悲願であった社長とのコンタクトに成功した。 その夜、場末の居酒屋「ちんぬい」のカウンターに座り、ビーンズ遠藤が夏の旅行でいれた、沖縄でもっともメジャーな泡盛「久米仙」のボトルを空けて俺はグラスを傾けていた。横の席では「沖縄」としか形容できない顔つきの三人組が方言で口角泡を飛ばして盛り上がっている。俺は心の中で具志堅、渡嘉敷、勇利アルバチャコフと名前をつけた。 しかしそこは境界線が緩い国、沖縄。MAXのミーナも緩すぎる、沖縄。だんだんと意識が朦朧としてくると、いつしか話の輪に俺も加わっていた。 「兄ちゃんはどこから来たんだウチナンチュー」 「僕は東京から来ましたモリサンチュー」 「一人で来たんかトーフヨウ」 「一人で来ましたソープジョウ」 アジア旅行で何度も命を救ってきた「現地の言語をその場で理解する」という、ここ10年タモリが「徹子の部屋」でやり続けている特技で俺はすっかり場に打ち解けていた。 「社長!」ゴルフのセミプロであるという渡嘉敷(想像)が、カウンターの端席にいる老人に声をかける。 「一人で本土から来たんですって」 社長・・・ついに27年生きてきて初めて巡り合った瞬間。思いがけない酒席での遭遇! 喜び勇んで顔を上げると、そこには「ベストキッドのパット・モリタ」「失業率トップ県的象徴」「ルソン島」とでもいうべき顎鬚を伸ばしきった涸れた老人が背中を丸めていた。 うなだれた。こういう社長なら東京でも何人か知っている。俺もよく有楽町マリオン前で火曜日に「AERA」を金曜日に「週刊プロレス」を100円で買っているから。つまりは「俺社長」。 肩を落として久米仙を啜っていると、社長は無職スメルを嗅ぎつけたのか俺に興味を示したらしく、役に立たない知識で畳み掛けてくる。 「兄ちゃん、君が今飲んでる酒はモンゴルの地下水から出来ていて、これが9度という酒にもっとも適した温度なんだな・・・」 「ほお」 「グラスの下にこのコースターを敷いて御覧。磁力で水の味が変わるからね・・・」 「それはそれは」 博識&謎の商品所持。これが「俺社長」でなかったとしたら「街の発明家」「下町のエジソン」意外の何者であろうか? 社長がおぼつかない足取りで席に立った時、俺はカウンターの中のマスターに尋ねた。 「あの人、誰なんですか?」 マスターは俺の手元の久米仙を指差して、言った。 「だから久米仙の社長だけど」 その後、社長が奥の棚から取り出したバーボン樽醸造の20年もの秘蔵古酒を御馳走になったなんて、あまりにも陳腐な話すぎて俺には語れない。沖縄は寓話の島である。 |
「今日はあなたに話があるの」 「うん?」 「・・・でも、いいわ今日は」 「あ、そう」 「やっぱり言う」 「早くしろよ。ガラスの仮面の42巻」 「実はあなたと離婚したいと思って」 「突然だな! ドライヤーの寿命切れ」 「3年前から考えていたの」 「そんなに前から? 運動できない子のフリースロー」 「それ。そのあなたの例え癖がわたしには我慢できないの」 「やっぱり気になるか? ブスの自慢話」 「自分ではおかしいと思わないの?」 「俺にはよく分からんな。鶴田真由の存在意義」 「変よ」 「やっぱり変かな。菊川怜の声」 「絶対変よ」 「やっぱり変かな。MEGUMIのグラビア」 「変。絶対、変。頭おかしいと思う」 「しつこくてうるさいよ! ブックオフのバイト!」 「慰謝料ちょうだい」 「突然何言い出すんだ。気合が入った時の渡辺真理」 「2億円欲しいわ」 「高すぎるよ! キャラメルコーンのカロリー!」 「やっぱり高い?・・・じゃあ2億1000万円」 「下がらないのかよ! モスバーガーの価格」 「じゃあいくらがいいのよ」 「そういうのは自分から言い出す問題じゃないだろ、ミスタードーナツのコーヒーおかわり」 「私はそのお金で新しい生活を始めるわ」 「新しい? 新しいタイプの居酒屋「笑笑」より新しい?」 「小さくてささやかな生活を」 「小さい? マツキヨのレシートより小さい?」 「実は今つきあってる人がいて」 「それ以上言うな。福田和也の恋愛論」 「その人は素敵な人で」 「やめてくれ。福田和也の贅沢術」 「あなたとは比べ物にならないわ」 「いい加減にしないと殴るぞ!福田和也」 「しかも一人じゃないわよ。三人とつきあってるの」 「なんでそんなにいるんだ? 「踊る!さんま御殿」の放送作家」 「今でもあなたのことが好きなのかもしれない」 「どっちなんだよ。「おざなり」と「なおざり」」 「本当は好きなの。だから別れる」 「矛盾してないか?見えるラジオ」 「さよなら」 「捨てないでくれ! 葱の青い部分」 「今までありがとう。公衆電話」 「俺はあきらめないぞ。補欠入学」 「私も忘れないわ。ブスのファッション」 「俺だって忘れないさ。ブスのポエム」 「いつか思い出す時が来るのね。ブスのクラウチングスタート」 「いつか来るよ。ブスのねずみ講勧誘」 |
さて恒例の新春企画「鈴木工の一人メールタイトルアワード・2001」である。 これは私が昨年送ったメールのサブジェクトから60の候補作品を厳選し、もっとも面白かったタイトルに大賞を与えるという、角川春樹短歌大賞の第1回受賞が角川春樹だったことを彷彿とさせるポジティブ思考むきだし企画だ。それではノンストップで御覧いただきたい。
「伊藤政則に憧れて長髪にする小学生」
以上である。最近では自分でも何でこんなサブジェクトをつけているのか目的を見失っている次第だ。医療ネタが多いのは昨日ふられた看護婦に半年もメールを送り続けていたから。ダメか?俺の中では医療ネタの「品行方正とチンコ包茎って似てるな」とか書いても恋は実らないのか? そりゃあ実らねえよ。 「猿の剥製」 |