バックナンバー・練乳工場(2002年1月〜)


3月15日/グレートジャーニーは旅先の色町で投資する金額もグレート

入院の際の小ネタを。

病院の空気は平日でも昼間でも濁っている。俺は大部屋のベッドに横たわりながら、斜め前のベッドで独り言を呟く佐野さんを見ていた。
端正な顔立ちをした老人で、足を怪我したらしく行動する時は車椅子を使う。しかし困ったちゃんなことに佐野さんは半分痴呆が入っているのだった。
常時付き添いの奥さんがいると思いこんでいるようで、消灯時間が訪れて灯りが落ちても「おい」と声をかけ続けている。それもわりかし頻繁で、だんだん間隔は短くなっていった。
夜眠れない時、俺はノーナ・リーブスのCDを聞いていたのだが、そのラップ部分になると狙ったかのように佐野さんの「おい」「おい」は絶妙にマッチ。ノーナ・コラボレーション・佐野さん。チェケダッチョ佐野さん。佐野ダッチョ。カーテンをめくると首に金のアクセサリーを揺らしてフリースタイルを満喫していたが、今考えると点滴のチューブが首にからまっていただけかもしれない。
ところがこの佐野さんはどうも自分が怪我をしていない認識のようで、すぐ車椅子から降りて歩こうとする。勿論腰を上げた途端崩れ落ちるものだから、知恵をしぼった看護婦が車椅子に乗った佐野さんの上半身を筋トレ用の紐でぐるぐる巻きにするという、人権が低い町田でしか通用しない苦肉の策で対抗していた。でも佐野さんは看護婦の目を盗んでは、器用に間接をずらしては紐から脱出するミラクルを披露。俺はその術を十分に堪能してから、脱出が終わった時点でナースコールしていた。
そんなある晩、例の方角からカタカタと音がする。そっとカーテンをめくると、一人では車椅子に乗れないはずの佐野さんがどういう手段を使ったのか勝手にコクピットに腰を下ろし、シャーッと音を立てて颯爽と車椅子で部屋から出ていくところであった。
俺がその後姿を見ながら思い出していたのは、アムロ・レイが不器用にガンダムを乗りこなすガンダム第一回のシーンだ。機動戦士・佐野さん。点滴支えるスタンドをビームサーベルにして看護婦どもを倒しちゃえ! でもジオン軍に捕まったらしく、すぐ部屋に連れ帰されていました。

横のベッドにいたのはサッカーで脱臼骨折した上島くんである。浅黒い肌をした、礼儀正しい中学3年生だ。
テレビ視聴用のプリペイカードを使わないからあげるよと進呈すると、「マジでいいんスか?これで「うたばん」見れますよ!」と涙を流して大歓喜。すぐカードを差しこむや「いいとも」に釘付けになって、今度は腹をかかえて大爆笑。久しぶりに目の当たりにした中学生の無駄なエネルギー炸裂である。
さらには「洋楽聞くなんてカッコいいッスよねえ」「モスバーガーってすげえ美味しいと思いますよ」とアンダー15そのまんまの発言が続いたかと思えば、「カノジョが2日に一度お見舞いに来るんス」「最近聞いてる音楽ですか? TMネットワークとか」と中学生らしからぬ発言も交叉する。結局資質を見極める前に、上島くんは退院してしまった。
後日検診で整形外科の待合室へ足を運ぶと、向こうから「鈴木さ〜ん」と上島くんが松葉杖をついて近づいてきた。元気?と訊ねると、
「やー退院したら肉が落ちてギプスの中がスカスカになったんスよ。でも昨日家の階段から落ちてまたパンパンに戻っちゃいました!なんかまた入院らしいッス!やばいッス!」
やはりこいつは中学生だ。ギプスを見れば同級生に書きこみされたらしく、マジックで「チンコチンコチンコ」と性器の俗称で塗りつぶされている。それは耳なし放一を彷彿とさせたが、上島くんは霊にチムコの包皮を引っ張られて無事助かることだろう。中学生ネバーダイ。

そうして退院し、自分の部屋でクサッていると手元の携帯電話が震えた。
「ムフー、入院していたんだって?」
静岡のナッティ・プロフェッサー、秒速で太るデブこと友人の木林田(モデルである森田くん本人から承諾をもらえなかったので仮名にさせていただきます)からの電話だ。居酒屋に行けば「どうすれば痩せるのかなあ。すいません軟骨揚げおかわり」と反省の色なく、休日は部屋から出るのが億劫で寿司かピザの出前を利用するという、一言で表すなら「憂国」としか言いようがない28歳の青年である。
「そうなんだよ。自転車で転んじゃってさー」
「な! だからいつも言ってるだろ? 外なんか無闇に出かけるからケガするんだって!
「・・・・・・」
「俺みたいに休日はエンジョイ・インナーライフしなきゃダメ! ムフフフー!」
「・・・・・・そうなのかな」
「ところで俺、最近がん保険に入ったんだけど、たくみも入らない?」
ろくな友人がいないと思う。誰もお見舞いに来なかったことを含めて。


3月10日/偽トミーフェブラリー(富井フェブラリー)はゴーグル着用

今回は他人の褌。

東スポ。どうなんだろう今東スポをネタにする行為は。
浅草キッドが「日付以外は全部誤報」と評したタブロイド紙は何年も前にトンチキな一面見出しが注目を集め、それはもう当然のように定着してしまった。
そんな東スポをネタにするのは、今や「トップガン」に影響されたフライトジャケットを羽織ながら、ウォークマンでワム!(デビューアルバム「俺はワムや!プロゴルファー・ワムや!」)を聞きつつ、カップラーメン「純情という名のコーン」をすするくらいの時代錯誤であり、ギャグに生きる者にとっては自殺行為であるのも承知だ。しかし毎週木曜日連載の「いたこ通信」を黙殺するのも忸怩たる気持ちを抑えられない。
最近「BUBUKA」などでは浜崎あゆみにインタビューしていないのにかかわらず、浜崎あゆみの想像インタビューが掲載されるなど、既に出版業界はイリーガルの様相を呈しているが、この連載はその極めつけの企画だ。「降霊界のマドンナとして「神出鬼没タケシムケン」の勝ち抜きイタコ選手権に出場した」と紹介される美人降霊師の高野モナミ先生に某有名人を宿らせてコメントを取るわけだが・・・とにかく最高傑作と思われる、1月30日付の連載第2回目を見ていただきたい。断わっておくが、私は以下の文章を一切いじっていないから。

下界の世相をたたっ斬る「いたこ通信 降霊!勝新に訊け」
先週、モナミ先生の力を借りて衝撃の復活を果たした勝新太郎氏。今後も本紙天界客員編集長として芸能界をブッタ斬ってもらいますが、今週は勝新が超ド級の秘密を暴露してくれました――
前回の「いたこ通信 降霊!勝新に訊け」の記事が掲載されると、テレビ、ラジオ、雑誌をはじめ業界各方面から問い合わせが殺到し、反響の大きさに驚いているモナミ先生。さっそく今週も降霊してもらいましょう。
――勝新さんですよね?
勝新「バカ野郎! 先日会ったばかりじゃねえか。オレの顔を忘れたんじゃねえだろうな」
――いえ、いえ、滅相もないです。お会いできるのを楽しみにしていました。
勝新「まあいい。オレもこっちに来てから気が長くなったからな」
――最近の芸能界について聞きたいんですが。
勝新「芸人の質が落ちた。正直ウンザリしてるよ」
――なるほど。ところでモーニング娘。を知ってますか?
勝新「知ってるよ。去年、新メンバー4人をくわえ、13人になったろ」
――ゲッ、詳しいですね。も、もしかしてファンだとか・・・
勝新「馬鹿にしてんのか? 好きで悪いか!」
――失礼しました。意外な感じがしたもので。メンバーの中では誰がお気に入りですか。
勝新(やや沈黙した後)「加護ちゃん」
――プッチモニの?
勝新「馬鹿野郎!加護ちゃんはタンポポとミニモニだ。間違えるんじゃねえ」
――度重なる失言をお許しください。
勝新「ちなみに裕次郎は辻ちゃんがいいと言うんだ」
――裕次郎って石原裕次郎さんですか?
勝新「他に誰がいる? この間、モー娘。の曲をカラオケで歌ったんだが、テンポが早すぎてついていけないな。今度つんく♂に都都逸調の曲を作ってくれるように言ってくれ」
――可能なかぎり善処します。それにしてもそちらの世界にカラオケなんかあるんですか?
勝新(その質問には答えず)「それとつんく♂に玉緒もメンバーに入れてくれるように頼んでおいてくれ」
降霊終了後、モナミ先生に勝新の近況を別途鑑定してもらった。「あの世では穏やかな日々を楽しまれている姿が見えます。何にでも興味を示され若い女性への関心もエネルギー源になっていらっしゃいます」

新聞だよな?
ジャンルはともかく、東スポだって新聞だろ?
いいのか、これ?
一読しただけでツッコみどころが108つあるわけだが、今回それを指摘するのは勘弁してほしい。確信犯は絡んだら負けだ。
ちなみに降霊シリーズは好評を博しているようで、3月上旬現在は横山やすしインタビュー。新聞だよな?これ、新聞なんでしょ?
次回はおそらく森繁が登場することだろう。東スポがフライングを恐れるはずないではないか。


2月20日/酒に強く吐かない者たち

自転車転倒で右手首を骨折してしまった。
仕事はおろか些細な生活もどうにもならず、心底凹む俺の元に友人から激励メールが届く。やっぱり痛みに勝るものって友情しかないんだね・・・
うんこ野村「右腕折ったって左でおなってろ」
パット森田「マジで骨折?左手でオナニーするのも新鮮かも!」
ビーンズ遠藤「オナニーがやめられなくて右手を折ったのか?」
ふざけるなおまえら。俺はそんなにオナニーが好きか。俺といえばオナニーなのか。というより俺は鈴木工じゃなくてオナニーそのものなのか。
俺はオナニーが丘の総理大臣か。オナニー男爵か。オナニー大学日本校か。肉を斬らせてオナニーを断つか。ホップステップオナニーか。いまならオナニー小鉢がついてくるか。3番パチョレック4番オナニーか。火の鳥オナニー編か。青春の門オナニー編か。ねじまきオナニー・泥棒かささぎ編か。いいことあるぞミスターオナニーか。海・空・オナニー・無限大か。シャア専用オナニーか。大きなオナニーの木の下でか。国士無双オナニー待ちか。オナニー・新羅・高句麗か。オナニー&ジョンソンか。本庄市保険金殺人の外人妻オナニー・サトウ・カワムラか。アリーナ席2階席オナニー席か。オナニーパワーステーションか。オナニーが消えないうちに3回お願いか。オナニーをためて沖縄に行こうか。オナニー穴のむじなか。オナニーグレイテストヒッツか。日本盤のみオナニートラックか。地中海風オナニーの包み焼きか。onany@docomo.ne.jpか。男拿迩威(おなにい)か。いいかこの街で何かあったら必ずオナニーのとこに来いか。宛名はオナニー様でよろしいですかか。働けど働けど我が暮らし楽にならず、じっとオナニーを見るか。国道を直進してフォルクスの手前オナニーを左折か。チョークが飛んできたハイスクールオナニーか。ますだおかだは465キロオナニー獲得か。クイズミリオネアのライフラインでオナニーを選択か。いらっしゃいませお飲み物は?アンバサですか?当店サイズはオ・ナ・ニーの3種類ございますがか。a辺とb辺の長さがc辺と一致する時オナニーの値を求めよか。サイモン&オナニーファンクルか。オナニー&オナニーファンクルか。ミス・オナンソンか。オナモニ。か。やっぱりイナバだ100人オナニーしても大丈夫か。欽ちゃんの良い子・悪い子・オナニーばかりしてる子か。ドとレとミとファとソとラとオナニーの音が出ないか。ドとレとミとファとソとラとシのオナニーが出ないか。ドとレとミとファとソとラとシの音が出ないかオナニー。オナこそニーけれか。カルトピューか。尾奈山第二中学校略してオナニー中か。2LDK日当良角部屋駐車場オ有か。オナニーなのか。オナニーじゃないのか。オナニーであるべきなのか。オナニーであるようになのか。心で祈ってるのか。オナニーであるようになのか。心で祈ってるのか。

左手一本と右脳オナニー、もとい右脳オンリーで書いたらこうなった。早く右手首が完治して幸せになるように心で祈ってる。


2月8日/世界がもし100人野村だったら

男の夢。それ即ち社長との邂逅である。
就職試験がドツボにはまった大学4年の時、俺は資料請求とセミナー申し込みを打ち切り、ひたすら電車に乗り続けていた。
なぜか?答えは簡単だ。朝の満員電車。殺人的な人圧によってしらすせんべい並みに圧縮された老人。見かねて彼に席をゆずった俺はその日の午後、「愛の嵐」の再放送に釘付けになってしまったばかりに有名大手企業の最終選考に遅刻してしまう。
「貴様は会社を舐めてるのか!」と「ひとひらの雪」の緒方拳ばりに俺につめよる人事部長。嗚呼、このままでは許してしまいそう・・・
達しようとしたまさにその瞬間、
「き、き、君はあの時の・・・」と奥の藤椅子に深々と腰掛けていた社長が髑髏の杖を頼りに起き上がるのだ。それはまさに今朝のしらすせんべい・・・即採用。即支社長。
もちろん大人になった今ではこの話が誤りだらけであることは承知である。社長が満員電車に乗らないこと、電車ばかり乗っていては最終試験にたどりつくためのセミナーにすら参加できないこと、社長は「君」ではなくて「チミ」と言うこと、「ひとひらの雪」に出ていたのは津川雅彦であること等々。しかし「釣りバカ日誌」のように、ひどくさりげなく社長と知り合いたい気持ちが衰えたことはない。
そして先日、俺はついに旅先の沖縄で悲願であった社長とのコンタクトに成功した。
その夜、場末の居酒屋「ちんぬい」のカウンターに座り、ビーンズ遠藤が夏の旅行でいれた、沖縄でもっともメジャーな泡盛「久米仙」のボトルを空けて俺はグラスを傾けていた。横の席では「沖縄」としか形容できない顔つきの三人組が方言で口角泡を飛ばして盛り上がっている。俺は心の中で具志堅、渡嘉敷、勇利アルバチャコフと名前をつけた。
しかしそこは境界線が緩い国、沖縄。MAXのミーナも緩すぎる、沖縄。だんだんと意識が朦朧としてくると、いつしか話の輪に俺も加わっていた。
「兄ちゃんはどこから来たんだウチナンチュー」
「僕は東京から来ましたモリサンチュー」
「一人で来たんかトーフヨウ」
「一人で来ましたソープジョウ」
アジア旅行で何度も命を救ってきた「現地の言語をその場で理解する」という、ここ10年タモリが「徹子の部屋」でやり続けている特技で俺はすっかり場に打ち解けていた。
「社長!」ゴルフのセミプロであるという渡嘉敷(想像)が、カウンターの端席にいる老人に声をかける。
「一人で本土から来たんですって」
社長・・・ついに27年生きてきて初めて巡り合った瞬間。思いがけない酒席での遭遇!
喜び勇んで顔を上げると、そこには「ベストキッドのパット・モリタ」「失業率トップ県的象徴」「ルソン島」とでもいうべき顎鬚を伸ばしきった涸れた老人が背中を丸めていた。
うなだれた。こういう社長なら東京でも何人か知っている。俺もよく有楽町マリオン前で火曜日に「AERA」を金曜日に「週刊プロレス」を100円で買っているから。つまりは「俺社長」。
肩を落として久米仙を啜っていると、社長は無職スメルを嗅ぎつけたのか俺に興味を示したらしく、役に立たない知識で畳み掛けてくる。
「兄ちゃん、君が今飲んでる酒はモンゴルの地下水から出来ていて、これが9度という酒にもっとも適した温度なんだな・・・」
「ほお」
「グラスの下にこのコースターを敷いて御覧。磁力で水の味が変わるからね・・・」
「それはそれは」
博識&謎の商品所持。これが「俺社長」でなかったとしたら「街の発明家」「下町のエジソン」意外の何者であろうか?
社長がおぼつかない足取りで席に立った時、俺はカウンターの中のマスターに尋ねた。
「あの人、誰なんですか?」
マスターは俺の手元の久米仙を指差して、言った。
「だから久米仙の社長だけど」

その後、社長が奥の棚から取り出したバーボン樽醸造の20年もの秘蔵古酒を御馳走になったなんて、あまりにも陳腐な話すぎて俺には語れない。沖縄は寓話の島である。


2月1日/貧しくてじっと手を見る。携帯メールが着信している

「今日はあなたに話があるの」
「うん?」
「・・・でも、いいわ今日は」
「あ、そう」
「やっぱり言う」
「早くしろよ。ガラスの仮面の42巻」
「実はあなたと離婚したいと思って」
「突然だな! ドライヤーの寿命切れ」
「3年前から考えていたの」
「そんなに前から? 運動できない子のフリースロー」
「それ。そのあなたの例え癖がわたしには我慢できないの」
「やっぱり気になるか? ブスの自慢話」
「自分ではおかしいと思わないの?」
「俺にはよく分からんな。鶴田真由の存在意義」
「変よ」
「やっぱり変かな。菊川怜の声」
「絶対変よ」
「やっぱり変かな。MEGUMIのグラビア」
「変。絶対、変。頭おかしいと思う」
「しつこくてうるさいよ! ブックオフのバイト!」
「慰謝料ちょうだい」
「突然何言い出すんだ。気合が入った時の渡辺真理」
「2億円欲しいわ」
「高すぎるよ! キャラメルコーンのカロリー!」
「やっぱり高い?・・・じゃあ2億1000万円」
「下がらないのかよ! モスバーガーの価格」
「じゃあいくらがいいのよ」
「そういうのは自分から言い出す問題じゃないだろ、ミスタードーナツのコーヒーおかわり」
「私はそのお金で新しい生活を始めるわ」
「新しい? 新しいタイプの居酒屋「笑笑」より新しい?」
「小さくてささやかな生活を」
「小さい? マツキヨのレシートより小さい?」
「実は今つきあってる人がいて」
「それ以上言うな。福田和也の恋愛論」
「その人は素敵な人で」
「やめてくれ。福田和也の贅沢術」
「あなたとは比べ物にならないわ」
「いい加減にしないと殴るぞ!福田和也」
「しかも一人じゃないわよ。三人とつきあってるの」
「なんでそんなにいるんだ? 「踊る!さんま御殿」の放送作家」
「今でもあなたのことが好きなのかもしれない」
「どっちなんだよ。「おざなり」と「なおざり」」
「本当は好きなの。だから別れる」
「矛盾してないか?見えるラジオ」
「さよなら」
「捨てないでくれ! 葱の青い部分」
「今までありがとう。公衆電話」
「俺はあきらめないぞ。補欠入学」
「私も忘れないわ。ブスのファッション」
「俺だって忘れないさ。ブスのポエム」
「いつか思い出す時が来るのね。ブスのクラウチングスタート」
「いつか来るよ。ブスのねずみ講勧誘」

1月18日/田舎ディスコ・ジュリ字(あざ)

さて恒例の新春企画「鈴木工の一人メールタイトルアワード・2001」である。
これは私が昨年送ったメールのサブジェクトから60の候補作品を厳選し、もっとも面白かったタイトルに大賞を与えるという、角川春樹短歌大賞の第1回受賞が角川春樹だったことを彷彿とさせるポジティブ思考むきだし企画だ。それではノンストップで御覧いただきたい。

「伊藤政則に憧れて長髪にする小学生」
「カジノドライブ(原付で)」
「谷川真理は芸能界の存在がハーフマラソン」
「パリダカール・リクシャ引きラリー」
「掟ポルシェは家族会議も下ネタ」
「かぶらペンダーツ大会」
「豆もやしの促成栽培は虚しいだけ」
「遅漏だけどインターネットは高速通信」
「臭うレンガだと思ったらでかいカレールー」
「深夜特急気分で京王バス通学」
「アディダスが買えないので中学ジャージでチェケダッチョ」
「ヘアカット100(24・中華包丁)」
「藤波の髪型にセコンドが抗議」
「父なる時化と母なる凪とバーナル化粧品」
「ヘッドロックでギブアップするタイトルマッチ」
「積極性。それは白線の前で電車を待つ精神」
「品行方正とチンコ包茎って似てるな」
「沖縄に行くとき、「上陸」という表現を使わない」
「出会い系サイトで生き別れた母と出会う」
「青い車。黒いブルマ」
「どんなことしてほしいの僕に。二毛作?」
「どんなことしてほしいの僕に。公明党に投票?」
「どんなことしてほしいの僕に。三権分立?」
「片思い。脳が半分除去された状態だから」
「林業従事者はチェーンソーでケーキ入刀」
「アコースティックの夕べライブに雷が直撃」
「モスビー効果で景気回復」
「フィリピン妻にタイ米ライスシャワー」
「守銭奴が畳の下に隠すトラベラーズチェック」
「4大出身!首席で卒業!社史編纂室勤務」
「ファミコン名人はナースコールも連射」
「バーテンダーが振ってるシェイカーの中身はサイコロ」
「僕はここにいる。三浦恵理子はCOCOにいた」
「体温計型ポッキーは水銀味」
「短冊の代わりに吊るした韓国焼き海苔」
「盲腸のブッシュマンはコーラ瓶の破片で剃毛」
「薬剤師?ヤクザ医師?」
「新大久保では飯のオーダーもリコンファーム」
「隠し味としてギターストラップに昆布を使用」
「歩いて帰ろう。捕虜だから」
「神輿が盗まれたので三角木馬をかつぐ祭り」
「窓際席争いで成田離婚」
「饅頭の皮の修復は皮膚科でなく整形外科に」
「花火師持参のマイボールがレーン上で炸裂」
「ポリープをトローチで治す精神力」
「ポジティブ。それは下り坂での立ち漕ぎ」
「マンガ喫茶の「喫茶」とAV女優の「女優」は同じ価値」
「♪テツ。テツ。トモ。トモ。二人はタカ&トシ〜」
「宝塚どくだみ組」
「新婚女教師はうるさい生徒にブーケを投げる」
「薬の味がする薬味」
「足を骨折したサッカー選手を薬殺」
「パンクラスのちゃんこでキャラメルマキアート味」
「アントニオJrは障害者手帳所持」
「馬の血統を追ったら平家の末裔であることが判明」
「原監督は西本の国籍を言及する時も爽やか!」
「偽ブラックジャックの傷跡はまつり縫い」
「縦型掃除機を股にはさむ偽ハリーポッター」
「灰皿交換にJAF出動」

以上である。最近では自分でも何でこんなサブジェクトをつけているのか目的を見失っている次第だ。医療ネタが多いのは昨日ふられた看護婦に半年もメールを送り続けていたから。ダメか?俺の中では医療ネタの「品行方正とチンコ包茎って似てるな」とか書いても恋は実らないのか? そりゃあ実らねえよ。
さてこれらの作品を抑えて大賞に輝いたのは、7月31日に東京NSC時代の元相方・星野くんに送ったこの作品です! それではみなさんまた来年お会いしましょう!

「猿の剥製」


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