2007年3月アーカイブ

金曜、文字通り気の置けない友達と飲んでいて、店の閉店がやってきて、カラオケにでも行こうかと言われつつ、ほとんどの人が帰るって言い出して、じゃあ帰ろうかまた飲もうねと言いながらちょっとだけもの足りなくて、でも本当はここで帰れば泥酔しなくて済むなとちょっとほっとしながらタクシーを拾おうと思って、左ポケットに入っている ipod nano で選曲して聞きたいと思った曲。

土岐麻子, 土曜日の恋人, Pacific Records, 2006.

「土曜日の夜は始まったばかり」じゃなくて、土曜日が始まったばかりなんだけど。

ねぇ、なんでこんなに音楽は優しいんだろう?

ひさしぶりにアフィリエイトリンクを貼ってみる。

ハヤカワ文庫の『長いお別れ』(清水俊二 訳) も以前読んでいて、その時も引き込まれて読んだし、読後も「読んで良かった」と思った。実際、レイモンド・チャンドラーの他の作品も 2, 3 冊読んだと思う。ならばレイモンド・チャンドラーの村上春樹訳なら買わない手はないという感じで読んでみた。話のすじは覚えているようで覚えていないもんだ。おかげでほぼ最後まで「この先はどうなるんだろう?」と思い続けて読み進められた。あるひとつの結論だけは覚えてたんだけど、それはこれから読む人のために省略。

村上春樹の『羊をめぐる冒険』との類似点も多く感じる。なぜか惹かれてしまう同性の友人。先が読めず理不尽な事件に巻き込まれていく感じ。全体像のつかめない謎の積み重ね。得体の知れない大物の存在。現代社会に対する愚痴。ごく個人的な規範の重視、などなど。

新旧訳の違いは、村上訳の『グレート・ギャッツビー』もそうだったけど、やはり現代の言葉で書かれていてこちらの方が読みやすい (僕の場合、彼の文体になじんでしまっているというのもあるはず)。とはいえ『長いお別れ』は『グレート・ギャッツビー』の旧訳ほど読みにくくはなかった覚えがある。ただ、本書の村上春樹による解説によると、

清水氏の翻訳『長いお別れ』ではかなり多くの文章が、あるいはまた文章の細部が、おそらくは意図的に省かれていると言う事実がある。

とのことなので、こちらの方がより原文に近いことになると思う。正直、旧訳ではよくわからない言葉も一部あったと思うし、今回の方がより鮮明に像を結ぶ感じがあった。

『ニュークリア・エイジ』『偉大なるデスリフ』『熊を放つ』など、村上春樹訳でもぜんぜんおもしろくなかった小説は多かったと個人的に思う。その点、去年の『グレート・ギャッツビー』も全然期待してなかったんだけど、これに関してはあの退屈で「読まなきゃよかった」と思った旧訳がなんだったんだ? というくらい引き込まれた。今回はまぁ、旧訳でも好きだったから当たり前なんだけど、やっぱりおもしろくて、印象としては最近の村上訳の小説だったら好きになれるかなという気がしてきた。そういえば『心臓を貫かれて』もすごく引き込まれた。これはこれで底暗い、重い物語だったが。

しかしさぁ、こういう小説の、読む者を自然と引き込み翻弄させながらも、最終的には緻密に組み立てられていることに気づかされ感嘆させられるようなストーリーと比較すると、たまに目にするテレビドラマの物語の稚拙さはどうなんだろう。素人が適当に間に合わせで作ったような物語を莫大な人数の人が喜んで見ているという...


フルマラソン後のアキレス腱炎はだいぶ収まってきて、歩いていて足首がギシギシ言うことはなくなってきた。ちょっと前までかなり足を引きずる感じで歩いていたけど、今はほとんどふつうに歩いてます。でも走るのはあと 3 週間くらい控えないといけないんだろうな。

http://www.shonan-kokusai.jp/

2007-03-18 日曜開催。無事完走。タイムはグロス (号砲がなってからスタートラインを越えるまでの時間も含めて) 4時間 14分台でした。ネットタイムだと -4 分なので、それでも目標より 10 分ほど遅くなってしまった。

nike+ の記録としては
43.81km, 4:14'02", 5'47"/km, 2996kcal
だけど、距離、ペースともに誤差が生じてる。実際の距離は 42.195km + 0.3km くらいだったはず。

朝、荷物預け場所の近くでランニング仲間の O と合流。パワーバーというレース前に食べるといいというフードを食べてみるが、固くて噛み切るのが大変で、半分を食べないうちにあきらめた。2 度と買わない。O はふつうにカロリーメイトを食べてた。そっちの方が良さそう。

スタート前、風が強くけっこう寒かったので、格好は長そで T シャツの上に半そで T シャツ、下はロングタイツという感じ。これに 100 円ショップのカッパを着て風を避ける。

荷物を預けてトイレに行くともうスタート 20 分前くらい。アップもかねて荷物預け場所 (江ノ島のけっこう奥) からスタート地点 (江ノ島水族館前) までジョグで移動。

もちろんサブフォー (4時間以内) 目標なので、3時間半〜4時間の場所に入る。体もあったまったので、カッパをコンビニのゴミ箱に捨てる。号砲。ずるずる歩く。スタート地点の号砲を鳴らす台の上には高橋尚子がいるので手を振る。この辺からすでにテンションが上がってた。

走り始めはペースがつかみづらかったんだけど、iPod nano を見ながらペースをつかむ。nike+ のグラフを見てみるとスタートから 6km までは 5'36"/km ペースを下回っているんだけど、おそらく実際はもっと速かったはず。その辺まで iPod nano に表示されるペースがいまいち間違っている感じがしていた (今考えると、他の人のセンサーと混線したりしている可能性もあるな)。

5km の給水はまだだいじょうぶと考えパス。その後 7km 地点から 19km 地点までは 5'10"〜5'20"/km ペースの記録が nike+ で見て取れる。実際、とても快調な走りだった。

10km 過ぎの地点で僕の下の名前を呼ぶ、聞き慣れた声が。沿道を見てみると、両親が応援に来ていた。応援に来るなんて知らなかったこともあって、ひじょうにうれしかった。「まだ戻ってくるから」と応える。

15km の給水所前でパワージェル
http://www.powerbar.jp/athletes/products/powergel.htm
というエネルギー補給食品を摂る。ハンガーノックにならないように。水飴のようにどろっとしていて水無しではきついと聞いていたので、すぐに水を飲んで飲み下す。やっぱりあまりおいしいものではないので、しばらく飲むのはやめようと決める。

西湘バイパスからの眺めはすばらしい。車からでは視線が低くて見えない部分とかも見えるし、そもそもスピードがありすぎてじっくり味わえていなかった景色が味わえる。大磯の漁港とかほんといい味わいだった。漁協の建物には大漁旗みたいなのが下げられ、ベランダから「がんばれー」という声が聞こえた。

ただ、20km 過ぎくらいから、iPod を見てるとペースが落ち始めるのがわかる。一応計画としては 30km 地点までは 5'30"/km ペースで行き、その後は 6'00"/km でゴールまでということなので、5'30"/km は維持できるよう走ろうと頑張る。

折り返すとけっこうな向かい風。それまでは、日差しも強いし風もあまり吹かないし今日の格好では暑すぎたかなと思っていたんだけど、復路の向かい風はけっこう冷たいので、この格好がちょうど良く感じる。

その後、左足太もも前部が張り始める。このままだとつりそうな気配。初めて完走が危うい予感がする。nike+ のグラフでは、27km 過ぎから順に 5'33"/km, 5'38"/km, 5'55"/km とペースが落ちてるので、そのくらいの地点だろう。西湘バイパスを降りるあたりから、道路わきの柵に手をついてももをストレッチし始めてた覚えがある。

今まで 32km とか走っても太ももがつりそうになるということはなかったので、単に筋肉の問題ではないと考えた。とすると、往路かなり汗をかき、給水時に水しか摂ってないのが理由だと考えた。次の給水所ではスポーツドリンクを飲もう。そう考えると、次の給水所までが長い。

30km 地点手前くらいで厚木レコードの仲間が応援してくれた。予想以上に元気が出るもんだ。どうもありがとう。両親や友人のように近しい人に応援してもらうのもとてもうれしいし、それだけでなく、沿道の人たちに応援してもらったり、ブラスバンドが演奏していたり、お囃子をやっていたり、どれも本当に力づけられるし、テンションも上がる。こんなにうれしいものだと思わなかった。その点でも、湘南国際マラソンはたくさんの人が応援に来てくれたので、いい大会になったと思う。

30km 地点では、目標の 2時間45分くらいだった。かろうじてサブフォー達成可能なタイムだが、すでに足が言うことを聞かなくなっているので、サブフォーはあきらめていた。とにかくベストを尽くして、完走だけはしようと。このへんから歩いてしまう人も意外といる。

30km の給水所ではスポーツドリンクを 2 杯飲む。復路は給食も行われるので、毎回バナナも食べた。心無しか、スポーツドリンクを飲んだ後、だいぶ太ももの張りが楽になったような。

その後、湘南大橋のたもとで応援している両親に会う。これまた元気をもらう。ただ、実際足はけっこうひどい状態。nike+ のグラフでは 30km 過ぎで6'00"/km を越えるようになっているけど、その前から越えていたのではないか。

32km を過ぎて、あと 10km と思う。このへんまで来ると左だけでなく両太ももが張る状態。いつも朝走っている距離だけど、こんなに足が動かない状態で走ったことないな、とか思ったり。井の頭公園から家までの距離だし。nike+ では 35km くらいまで 6'00"/km ちょっとくらいのペースになっているけど、腕時計で計測している限り、すでにこのへんから 6分/km 台後半から 7分/km 台のペースになっていたと思う。どうも nike+ はふだんのペースより極端にペースが落ちると、ペースはあまり下げて認識せず距離を多めに認識してしまうようだ。おかげで、iPod の距離表示と、道路沿いの距離表示がどんどん乖離していく。iPod の距離表示であと ? km と思うと、実際はもっとあるわけで、心理的にもつらい。

ペースなんて上げようもないし、ひどくしんどいけど、とにかく走る。歩いている人も多い。歩いたら楽だろうなと心底思う。ただ、意地でも最後まで走ろうと思った。「走れ、歩くな」という気合いと、走るためにマラソン大会に出ているんだからという考えで。あんまり歩くスピードと変わらないかもしれないけど、とにかく走る。走ればゴールまでの距離は確実に短くなっていくはずだし。

35km の給水所前では、またパワージェルを飲む。最後までエネルギーが続くように。スポーツドリンクも 2 杯。あとは変わらず淡々と走る。変わらず時々止まってストレッチをする。途中、10km の部の人と合流する。歩く人がじゃまだ。歩くなら道の端を歩けばいいのに。辻堂を過ぎ、藤沢市内に分岐する交差点を過ぎ、むかしの鵠沼プールガーデンのあたりを経て、江ノ島近くの道沿いの店が増えるポイントへ出る。あともう少しだ、と思う。でも実際はなかなか江ノ島水族館までも到達しない。やっと到達したと思っても、ゴールまであと 1km という話。

江ノ島へ渡る橋の入口で、スタッフの人から「あと 500m」と聞く。あとそれだけならと思い、橋の上ではスパート。それでもたぶん 6'30"/km くらいしか出てないと思うけど、けっこう他のランナーを抜いた。

結果は、すでにお伝えした通り。ほんとなんとか完走できて良かった。不自然にしか歩けない状態。ペットボトルのスポーツドリンクをもらう。飲むが、もうこのスポーツドリンクも飲み飽きた感じ。完走記念品 (ドライ素材の大会ロゴ入り T シャツ) を受け取ったり、預けた荷物を引き取ったりする場所が混雑していて、入場規制がかかってた。

着替えて、O と再会して、駅まで歩いて帰る。島からの橋の歩道がえらく混んでた。

その後、応援してくれた友人の家で、O と応援してくれた人と飲み。家に帰ったのは 23:00 くらい。熱を測ってみると、やっぱり昨日と同じような微熱があって、やっぱり風邪は治ってなかったのかなと思ったり。

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ということで、思った以上にたいへんなフルマラソンになった。かといって「もう二度と走りたくない」とは全然思わない。それくらい達成感や、走る気持ちよさは間違いなくあった。次のフルマラソンは秋〜初冬の大会 (つくばなど) に照準を当わせ、気を抜かないようにハーフのレースは 2〜3 ヶ月にいっぺんくらいは走りたいと思う。あとは、10-15km 程度の練習ではキロ 4 分台のペースで走れるようにして、もう少し軽いシューズにも手を出してみよう。

今のシューズ
http://www.nike.jp/product/index.html#/detail//315166/
は、安定性・クッション性を重視しているので、キロ 4 分台で走るためのものより片足 100g くらい重い。100g 軽ければ足の筋力的負担はかなり軽くなると思う。今回良かったのは、フルマラソンを走っても路面からの衝撃面で足や膝が痛くなることがなかったということ。それが達成できたのは、やはり練習の効果だといっていいと思う。

あと、今回の問題はやはりフルマラソンを走る時のペース配分や、後半の筋持久力にあるので、LSD もしっかりやっていかないと。暑くなってくると 30〜40km の LSD はつらいだろうけど、なるべくこなしていきたいところ。

ということで、まだまだ走ります!

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あと、最後になるけど、応援してくれた人たちと、いっしょに走った O に感謝します。いろいろと元気づけられました。どうもありがとう。

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