ロング・グッドバイ

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ハヤカワ文庫の『長いお別れ』(清水俊二 訳) も以前読んでいて、その時も引き込まれて読んだし、読後も「読んで良かった」と思った。実際、レイモンド・チャンドラーの他の作品も 2, 3 冊読んだと思う。ならばレイモンド・チャンドラーの村上春樹訳なら買わない手はないという感じで読んでみた。話のすじは覚えているようで覚えていないもんだ。おかげでほぼ最後まで「この先はどうなるんだろう?」と思い続けて読み進められた。あるひとつの結論だけは覚えてたんだけど、それはこれから読む人のために省略。

村上春樹の『羊をめぐる冒険』との類似点も多く感じる。なぜか惹かれてしまう同性の友人。先が読めず理不尽な事件に巻き込まれていく感じ。全体像のつかめない謎の積み重ね。得体の知れない大物の存在。現代社会に対する愚痴。ごく個人的な規範の重視、などなど。

新旧訳の違いは、村上訳の『グレート・ギャッツビー』もそうだったけど、やはり現代の言葉で書かれていてこちらの方が読みやすい (僕の場合、彼の文体になじんでしまっているというのもあるはず)。とはいえ『長いお別れ』は『グレート・ギャッツビー』の旧訳ほど読みにくくはなかった覚えがある。ただ、本書の村上春樹による解説によると、

清水氏の翻訳『長いお別れ』ではかなり多くの文章が、あるいはまた文章の細部が、おそらくは意図的に省かれていると言う事実がある。

とのことなので、こちらの方がより原文に近いことになると思う。正直、旧訳ではよくわからない言葉も一部あったと思うし、今回の方がより鮮明に像を結ぶ感じがあった。

『ニュークリア・エイジ』『偉大なるデスリフ』『熊を放つ』など、村上春樹訳でもぜんぜんおもしろくなかった小説は多かったと個人的に思う。その点、去年の『グレート・ギャッツビー』も全然期待してなかったんだけど、これに関してはあの退屈で「読まなきゃよかった」と思った旧訳がなんだったんだ? というくらい引き込まれた。今回はまぁ、旧訳でも好きだったから当たり前なんだけど、やっぱりおもしろくて、印象としては最近の村上訳の小説だったら好きになれるかなという気がしてきた。そういえば『心臓を貫かれて』もすごく引き込まれた。これはこれで底暗い、重い物語だったが。

しかしさぁ、こういう小説の、読む者を自然と引き込み翻弄させながらも、最終的には緻密に組み立てられていることに気づかされ感嘆させられるようなストーリーと比較すると、たまに目にするテレビドラマの物語の稚拙さはどうなんだろう。素人が適当に間に合わせで作ったような物語を莫大な人数の人が喜んで見ているという...


フルマラソン後のアキレス腱炎はだいぶ収まってきて、歩いていて足首がギシギシ言うことはなくなってきた。ちょっと前までかなり足を引きずる感じで歩いていたけど、今はほとんどふつうに歩いてます。でも走るのはあと 3 週間くらい控えないといけないんだろうな。

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コメント(5)

これ買ったんだけどまだ読んでない。長い(本が分厚い)から覚悟を決めて読み始めないと、と思って逆に躊躇している状態。
村上春樹の翻訳物では、ぼくはレイモンド・カーヴァーのが好きだなあ。

レイモンド・カーヴァーも好きだけど、カーヴァーの方が、落ち着いている感じがする。
チャンドラーの方はわりと読者をつかんで放さず物語に飲み込んでく感じ。なので、読み始めてしまえば長さは感じなくなると思う。
本自体は、物として重いけど。
そういえば、湘南国際マラソン当日もこの本を持っていって、行き帰りに読んでた。

読まないままでもう2か月半以上も経っていたのか・・・ずいぶん前の記述に対するコメントになってしまった。
まとまった時間があったので、ほぼ丸一日かけて読んだ。
ぼくは旧訳を読んでいなかったから、村上春樹の新作みたいに楽しめた。
村上春樹がチャンドラーの影響を受けていて、それがこれまでのいくつかの作品に投影されていたとか、そういうことではなくて素直にいい本だったなと思った。
レイモンド・チャンドラーの(別の人が訳した)その他の作品も楽しめるかなあ?

たぶん他の作品も楽しめると思う。

一部実家に置きっ放しだし、どれが一番おもしろかったかは思い出せない。ほとんどがハヤカワ文庫で出ていて、そこそこの規模の本屋ならそろっているはずなので、手に取って裏表紙の紹介文を読んでぐっときたものを読むのがおすすめです。

ありがとう。さっそく買いに出かけよう。

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このページは、notoが2007年3月30日 00:20に書いたブログ記事です。

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