ネットブック代わりに買った iPhone

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実はネットブックだった『iPhone』?――平均以下所得層の購入が急増
http://wiredvision.jp/news/200810/2008103121.html

10 月に入ってやっと iPhone 3G を買った。いろいろ自分の中で理由を付けて購入に踏み切ったが、実は EeePC のような安価なネットブックを買わないで済ますなら買ってもいいんじゃないかというのも理由のひとつだった。

小学生くらいの時から眠りにつくまで本やマンガを読む習慣があったのだけど、これだと眠る直前まで部屋の灯りをつけておく必要があり、うちの奥さんに迷惑なので、最近は PC を見ながら眠るようにしている。

この時に使っている PC が 2002 年くらいに買った ThinkPad X22 で OS はいまだに Windows 2000。HDD 容量も 20GB くらいで、16GB の iPhone とほとんどどっこいどっこい。ネットブックが出てきて、近いうちにベッドサイド用に買おうかなと思っていたんだけど、どうせウェブブラウザと 2ch ブラウザしか使っていないんだから、なら iPhone でいいし、iPhone ならネットブック以上にいろいろ遊べるじゃん! と思ったという経緯。


さて実際買ってみると、上記の用途は十分に満たしているし、いままで PC でしかしていなかった「livedoor Reader の未読記事を消化し、必要に応じはてなブックマークに登録したり、メモをとる」という行為が、駅や電車内でできるようになった。それも単にウェブブラウザで PC のブラウジングを不便にした形態で行うのではなく、Aero Reader という livedoor Reader 専用アプリケーションの、iPhone らしいインタフェースで、だ。

ケータイには PC のウェブブラウザと全然違う小気味良いインタフェースがあるが、PC を使い慣れている身でケータイブラウザを使い始めた頃は独特の窮屈な感じがあった。正直、そこを仕事の主戦場にしている僕でもその感覚は完全に払拭できてはいない。

それに対し iPhone の専用アプリを使い始めたら、ケータイより「広い、のびのびとした」感じ、「ケータイより」というだけでなく、PC とも違う独自の使いやすさがある。

特に RSS リーダや 2 ちゃんねるのようなリスト構造をブラウジング、斜め読みする際、タッチして弾いてスクロールさせ、その物理法則にしたがった慣性で画面が流れている状態を目で追うというのが思いのほか便利だ。たとえば、2tch free という 2ch ブラウザアプリで掲示板 (例えば「陸上競技」板) を選び、その中のどこかに自分の読みたいスレッドタイトル (例えば「トレイルランニング」など) があるとしたら、画面をスクロールさせながら眼で追い、自分の興味のあるスレッドタイトルを見つけた瞬間、画面にタッチしてスクロールを止めて、選択するといった具合。このスクロールさせる時の触感もいいし、その流れていく文字を眼で追うという行為も、その効率の良さも、今まで経験したことのないものだ。

新しいハードウェアには新しい UI が必要である、というポリシーがきちんとあって、それがきちんと考え抜かれて実現されているという気持ちよさ。アプリ開発者にそのガイドライン (とおそらく「使える」ライブラリ) を示して、統一感がもたらされている。で、ユーザとしては「勉強しなきゃ」というよりふつうに使っているとそのポリシーが自然と伝わってくる、気づいていける感じ。

やっぱり日本のケータイは「PC ならもっとこうだけど、ケータイだからこれくらいで不便だけど我慢して」というあきらめがあって、それが窮屈さの原因だったのではないだろうか。Windows CE や Windows Mobile の流れも同様。それに対して iPhone は、PC や Mac より、こういうハードだからこそこういうインタフェースが気持ちいいでしょ? というプラスの要素をきちんと用意している。

同じことを別の面で言うことになるけど、PC でやっていたことを iPhone らしいインタフェースで行うためのアプリがどんどん出てきている。最初からPC ユーザが前提になっているから、PC ユーザが窮屈な思いをしないで iPhone での生活を始められているような。ケータイはけっこう「ケータイしか持っていない人」をターゲットとしてものやサービスを作っている面があるからなぁ...

例えば、今まではケータイでニュースを見るなら「モバゲータウン」で、でも PC の livedoor Reader では asahi.com の feed を読んでいた。後者は既読管理をしているけど、前者はそこまできっちりしていないし、結果的に重複してチェックするニュースが出てきていた。でも効率重視なら、どこにいても livedoor Reader で asahi.com の feed を消化するのがいちばんいいはずで、iPhone ではそれが自然にできるようになってしまった。

livedoor Reader のケータイ版サービスもあるんだけど、あのインタフェースだと「モバゲーでニュース読む方がいいな」と思ってしまうし、いい記事 (エントリ) を見つけたとき、そのままはてなブックマークに登録するのも無理で、そういう「次のアクション」が取れないと、RSS リーダの存在価値が無くなってしまうという問題もあった。

iPhone はまだまだ大方の (= マス) ユーザには関係ない存在だろうけど、僕個人としてはこの辺が今後ケータイサービスを作ったり、改善していく時のひとつのヒントなんではないかと思ったりしている。

あとさ、ケータイしか持っていないユーザをいつまでもケータイに押し込めておくことが本当にいいことなのか? とも思わないでもない。確かにケータイで小説は書いてしまうし、もしかするとそういう人は大学のレポートや学会に投稿する論文もケータイで書いてしまうのかもしれないけど、でもそれって結果的に思考の幅を狭めたりしないのかな... あの 20 インチディスプレイで emacs やアウトラインプロセッサーを初めて使ったときの脳みそが広がった感じとか共有しなくていいんだろうか?

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このページは、notoが2008年11月 3日 21:04に書いたブログ記事です。

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